弁護士費用は主に3つの費用で構成されており、内訳は「着手金」「報酬金:解決報酬金(2万円以下)、過払い金報酬(取り戻せた額の20%前後)、減額報酬金(10%以下)」になります。詳しい内容は後ほどご紹介しますが、大きく費用が変動するのが「過払い金報酬」の部分です。
もし過払い金として300万円を取り戻せたと仮定すると、それぞれを合わせて約80万円から100万円が相場、200万円なら60万円から80万円になるでしょう。実際に財布からで行くお金に関していえば、過払い金は入ってくるお金ともいえますので除外し、着手金と報酬金の2点で約3万円になります。
着手金 | 報酬金 | 過払い金報酬 | 減額報酬 |
0円〜2円 | 19,800円程度 | 返還金額の20% | 返還金額の10% |
ではなぜこのような金額になるのかという点と、弁護士費用をおさえれば戻ってくる過払い金の額をできるだけ大きくするために、弁護士費用を抑える方法をご紹介していきます。
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弁護士に過払い金請求を依頼した場合の費用相場と内訳
弁護士費用の相場は過払い金の返還額によって、弁護士の過払い金報酬がかさんでいきますので、正確に相場を割り出すことは難しいのですが、過払い金の額に応じた弁護士費用を算出すると、下記のようになります。
- 過払い金が100万円の場合の弁護士費用:40万円〜60万円
- 過払い金が200万円の場合の弁護士費用:60万円〜80万円
- 過払い金が300万円の場合の弁護士費用:80万円〜100万円
ただ、過払い金の返還が成功した場合の報酬が高く、総じて弁護士費用も高くみえがちですが、実際に手元から出て行く費用に過払い金報酬は含まれていませんので、実質3万円前後が相場といっていいのかも知れません。
着手金
「着手金」は弁護士に過払い金請求を依頼した時点で支払う報酬で、仮に過払い金が帰ってこなかったとしても返還されないのが通常です。
まだ仕事をしていない段階で支払うお金ですが、事件終了までどの程度の期間がかかるのかわかりませんから、その間の弁護士活動の対価として重要な意味を持っていることはご理解いただければと思います。
弁護士が自由に費用を設定できるようになってから、着手金は弁護士事務所単位で好きに決めることができますので、0円の事務所もあれば、4万円以上に設定している弁護士事務所も存在します。
過払い金の請求をする先が多いと増額する
着手金は、過払い金請求を行う消費者金融の数1社につき2万円から4万円前後になりますので、全部合わせて2万円などではないことに注意しましょう。
日本弁護士連合会(日弁連)が全国1000人の弁護士に行なった、2008年の「消費者金融10社に対して合計400万円の借金、200万円の過払い金が返ってきた事案の着手金・報酬金をいくらか?」というアンケートによれば、約70%の弁護士が10社で10~20万円前後としたそうです。つまり、「着手金=消費者金融の数 × 1万から2万円」という設定になりますね。
報酬金
報酬金は事件終了後に支払う費用のことで、着手金とは別途必要となるケースが一般的です。過払い金返還請求の報酬について、日弁連は「債務整理事件処理の規律を定める規程」というルールをしいており、次のような上限額を設けています。
解決報酬金
消費者金融間の事件が解決したことで発生する費用です。日弁連のルールでは消費者金融1社あたり2万円以下(商工ローンなら5万円以下)と規制されています。そのため、弁護士事務所では税込19,800円とされるケースが一般的です。
減額報酬金
消費者金融が主張する借金額に対して、実際に支払った額との減額分をもとに算定する報酬金になります。
[aside]例
100万円の返済を請求されていたが、20万円が利息分として払い過ぎた過払いがあった場合、過払い金請求で20万円を取り戻し、差し引き80万円に減ったのであれば、減額分である20万を日弁連のルールの10%以下の規定に当てはめて、2万円以下になります。[/aside]
過払い金報酬金
消費者金融から回収した過払い金をもとに算定する報酬金で、日弁連のルールでは回収額の20%以下、訴訟を行なった場合は、回収額の25%以下と規定しています。
実費
これには事件の処理に必要な収入印紙代や郵便切手代、交通通費などに該当する費用です。実費は報酬ではありませんが、着手金や報酬金とは別途に、依頼者が負担するケースが多くなります。費用がどのくらいになるのかは読めませんが、収入印紙は返還金額に応じて必要な額が決まっています。
表:収入印紙の相場
記載された受取金額 | |
5万円未満 | 非課税 |
100万円以下 | 200円 |
100万円超200万円以下 | 400円 |
200万円超300万円以下 | 600円 |
300万円超500万円以下 | 1千円 |
500万円超1千万円以下 | 2千円 |
1千万円超2千万円以下 | 4千円 |
2千万円超3千万円以下 | 6千円 |
3千万円超5千万円以下 | 1万円 |
5千万円超1億円以下 | 2万円 |
1億円超2億円以下 | 4万円 |
2億円超3億円以下 | 6万円 |
3億円超5億円以下 | 10万円 |
5億円超10億円以下 | 15万円 |
10億円超 | 20万円 |
受取金額の記載のないもの | 200円 |
記載された受取金額が | 非課税 |
5万円未満のもの | |
1通につき | 200円 |
受取金額の記載のないもの | 200円 |
弁護士費用の例
100万円の負債から、50万円の過払い金を回収した場合の計算例は以下のようになります。
(1)着手金 | 0円 |
(2)報酬金 | 解決報酬金 :2万円 |
減額報酬金 :+ 50万円 × 10% = 5万円 | |
過払い金報酬:+ 50万円 × 20% = 10万円 | |
(3)消費税 | 8,000円 |
弁護士費用合計 | 17万8,000円(実費別) |
弁護士費用をできるだけ抑えるには?
この弁護士費用は高いのかといわれると、日常生活の中で考えるのであれば高いと言っていいかも知れません。特に借金をしているのであれば、1万円だって惜しいはずですから、報酬金をできるだけ下げることが過払い金請求で取り戻せる額を増やすことに繋がるでしょう。
着手金無料の弁護士を選ぶ
現在の弁護士報酬規定では、着手金などの費用は自由に設定して良いとなっていますので、着手金が無料になっている弁護士事務所を選ぶことで、2万円程度の費用を削減できます。
報酬金ができるだけ低い弁護士事務所を選ぶ
過払い金請求の弁護士報酬費用は、規定では20%を超えない範囲とされていますが、現在は過払い金戦争の激化で税抜き18%や16%まで下げている弁護士事務所もかなりあります。過払い金請求に関していえば悪徳な弁護士に相談しない限りはどの法律事務所でも差はありませんので、安心して安い事務所を選んでください。
司法書士なら費用は抑えられるが依頼できない場合もある
訴訟を介さない過払い金請求であれば、弁護権がない司法書士に依頼することもできます、ただ、司法書士の場合は過払い金が140万円以上になると扱えない案件となってしまうのがネックです。
- 返還金額の合計が140万円を超える場合弁護士にしか依頼できない
- 返還金額の合計が140万円以下なら弁護士でも司法書士でも扱える
借金完済後の場合 | 借金完済前の場合 | |
0円 | 相談料 | 0円(無料) |
0円(無料) | 着手金 | 0円(無料) |
0円(無料) | 基本料金 | 20,000円(税別) |
0円(無料) | 減額報酬 | 30,000円(税別) |
20%(税別) | 過払い報酬金 | 20%(税別) |
訴訟実費 | 訴訟の場合 | 訴訟実費 |
自分の過払い金がまだいくらあるのかわからない状態で司法書士に依頼した場合、140万円を超えてしまったら司法書士費用が無駄になりますので、まずは過払い金がいくらあるのかを計算してからが良いでしょう。