自分のパートナーや不倫相手のパートナーから不倫慰謝料を請求された時は、冷静に対処できない方が多いでしょう。相手は弁護士を味方にして請求している時が多いので、こちらも弁護士を味方にして対処すると安心です。
しかし弁護士を味方に付けるとしても、弁護士費用が多くかかってしまうと懸念してしまう方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、不倫慰謝料を請求された場合の弁護士費用の相場、弁護士費用を安く抑えるコツなどをご紹介します。
不倫慰謝料の減額にかかる弁護士費用の内訳
弁護士費用と一括りにしても、相談料や着手金など様々な費用が総じて弁護士費用と言われています。
それぞれの費用が高ければ高いほど、弁護士費用も高くなってしまうのです。弁護士費用を安くするためには、まず弁護士費用の中に何が入っているのか知っておきましょう。
相談料
相談料とは、弁護士に相談する際に掛かる費用です。不倫慰謝料を請求されている場合、その現状を弁護士に伝えて今後の手続きをどのように進めれば有利な結果になるのかを相談します。
相談料は弁護士事務所によって異なりますが、1時間で0~1万円ほど掛かります。
近年は無料相談を受け付けている事務所も多くありますが、そのような事務所は成功報酬が高い可能性があるので注意しましょう。
着手金
着手金とは、事件の内容に取り掛かる時に掛かる頭金のようなものです。弁護士と委任契約をしたら、その事件が解決する前でも着手金は支払わなければなりません。
事件を解決に導いている途中で契約が打ち切りになった場合や不成功の場合でも、着手金は返還されないので注意しましょう。
また着手金は、弁護士の活動に掛かる費用の一部を支払う前払い形式のものではなく、成功報酬の手付けや内金に入るものではありません。
弁護士の中には、活動の割合に応じて一部を返還してくれる人もいますが、基本的には返ってこないものだと思いましょう。
成功報酬
成功報酬とは、不倫慰謝料の減額に成功した場合に弁護士に支払う費用です。多くの場合は、不倫慰謝料をいくら減額したのかによって弁護士の報酬が決まります。
減額した金額位に対して割合での報酬とせず、きっちり金額が決まっている弁護士事務所もあるので注意しましょう。
成功と言っても一部の成功も含まれ、その度合いに応じて報酬金を支払わなくてはいけませんが、まったく慰謝料額が減額できなかった場合は支払う必要はありません。
日当
日当とは、弁護士が事務所以外の場所に出向いて弁護活動を行う際に掛かる費用を言います。例えば、裁判になった際に弁護士が同席する場合や弁護士が長時間の移動を強いられた場合、何時間か弁護士を拘束することになります。
この拘束時間に照らし合わせて、日当が弁護士側から請求される可能性があるのです。
実費
実費とは事件処理のために実際に出費されるもので、裁判を起こした場合に掛かる印紙代や切手第、記録謄写費用などがこれに当たります。
出張を要する事件の場合は、交通費や宿に滞在した宿泊費も実費として請求される場合が多いです。
【状況別】弁護士費用の相場
弁護士費用にも相場がありますが、解決する状況によって相場が異なります。
ここでは、状況別で見た弁護士費用の相場を見ていきましょう。
①離婚をせず不倫慰謝料のみを請求された場合の相場
自分のパートナーと離婚せずに不倫慰謝料を請求された場合や、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求された場合は、示談交渉で解決ができます。
示談で解決ができなかった場合は裁判での解決になりますが、解決までの期間が長くなってしまうため弁護士費用も高くなりがちです。
示談交渉での解決の場合の費用相場と、裁判での解決の場合の費用相場を見ていきましょう。
示談交渉での解決
- 相談料…0~1万円
- 着手金…15~20万円
- 実費…1~3万円
- 報酬…5万円に加えて減額できた金額の15~20%程度
裁判での解決
- 相談料…0~1万円
- 着手金…20~30万円
- 実費…1~3万円
- 報酬…減額できた金額の20~25%程度もしくは15~20%程度+5万円
②離婚して慰謝料請求された場合
パートナーと離婚した場合、あるいは不倫相手が離婚に陥った場合は、こちら側に慰謝料を請求される可能性があります。
離婚といっても、協議離婚・調停離婚・裁判離婚によって慰謝料の金額が異なるので注意が必要です。それぞれ解決した場合の費用相場を見ていきましょう。
協議離婚の場合
- 相談料…0~1万円
- 着手金…15~30万円
- 実費…1~3万円
- 報酬…15~30万円に加えて経済利益の10%程度
調停離婚の場合
- 相談料…0~1万円
- 着手金…25~40万円
- 実費…1~3万円
- 報酬…25~40万円に加えて経済利益の10%程度
裁判離婚の場合
- 相談料…0~1万円
- 着手金…30~50万円
- 実費…1~3万円
- 報酬…30~50万円に加えて経済利益の10%程度
経済利益とは、慰謝料や養育費、財産分与などの請求額から減額できた金額を言います。調停や裁判の場合は、示談交渉ができる協議離婚よりも弁護士費用が高くなりがちです。
また弁護士が裁判所に出向いた場合、1日当たり2~5万円の日当も生じるので注意しましょう。
弁護士費用をできるだけ安く抑えるには?
では、弁護士費用を抑えるにはどのような方法を使えば良いのでしょうか?
ここでは、弁護士費用を抑える方法をご紹介します。
無料相談を活用する
弁護士事務所によっては、相談料が無料の事務所と有料の事務所があります。現在は多くの弁護士事務所が無料相談を行っているため、相談してから依頼するか決めたいという方におすすめです。
有料の弁護士事務所であれば、相談料1時間で1万円掛かってしまうので注意してください。
しかし相談料を無料にしている事務所の中には、初回に限り無料としているところもあるため注意しなくてはなりません。
着手金が無料の弁護士を依頼する
相談料が無料という弁護士事務所の他に、着手金が無料の事務所も存在します。しかし、着手金が無料となっている場合、成功した時の報酬金額や日当が高く設定されている可能性があります。
結局他の事務所と料金が変わらなかったり高くなっていたりするケースもあるので、全体の金額をよく確認するようにしてください。
弁護士費用を安く抑えたとしても、不倫慰謝料が減額できなければ意味がありません。
中には弁護士費用の分割払いが可能な事務所や、減額できた金額よりも弁護士費用が高くなった場合に差額を返金している仕組みを導入している事務所もあります。
このような費用の仕組みを取り入れている弁護士事務所を探すのも良いでしょう。
示談ができるうちに弁護士に依頼する
弁護士費用を抑えるために一番重要なのが、示談ができる早い内に弁護士に依頼することです。不倫慰謝料のトラブルは経過が長くなればなるほど、感情的になって話が進まず裁判になるケースが多いからです。
示談交渉が思うように進まずに裁判になってしまうと、弁護士費用も高くなります。そのため、示談交渉ができるうちに法律のプロである弁護士に依頼すると良いのです。
法テラスに相談する
法テラスとは、法務省が管轄している公的な法人で法律の総合的な案内サービスを行っている所です。
法テラスを利用するには一定の収入があることや民事法律扶助の趣旨に適することなどといった条件があるので、条件に当てはまっているか確認してから相談しましょう。
資力要件
法テラスは、【収入基準】と【資産基準】を満たしている方がご利用できます。
収入要件とは
- 申込者及び配偶者(以下、「申込者等」)の手取り月収額(賞与を含む)が下表の基準を満たしていることが要件となります。
- 離婚事件などで配偶者が相手方のときは収入を合算しません。
- 申込者等と同居している家族の収入は、家計の貢献の範囲で申込者の収入に合算します。
人数 手取月収額の基準 注1 家賃又は住宅ローンを負担している場合に
加算できる限度額 注21人 18万2,000円以下
(20万200円以下)4万1,000円以下
(5万3,000円以下)2人 25万1,000円以下
(27万6,100円以下)5万3,000円以下
(6万8,000円以下)3人 27万2,000円以下
(29万9,200円以下)6万6,000円以下
(8万5,000円以下)4人 29万9,000円以下
(32万8,900円以下)7万1,000円以下
(9万2,000円以下)注1:東京、大阪など生活保護一級地の場合、()内の基準を適用します。以下、同居家族が1名増加する毎に基準額に30,000円(33,000円)を加算します。
注2:申込者等が、家賃又は住宅ローンを負担している場合、基準表の額を限度に、負担額を基準に加算できます。居住地が東京都特別区の場合、()内の基準を適用します。
引用元:法テラス
法テラスに相談するメリットは、条件に当てはまっていれば無料で相談ができることです。弁護士費用が高くて支払えない場合でも、法テラスに相談することで費用が安くなったり分割で支払えるようになったりもします。
費用をどうしても抑えたいという方は、法テラスへ相談してみましょう。
失敗しない弁護士選び|費用を無駄にしない為に比較すべきポイント
不倫慰謝料を減額できるとしても、不倫慰謝料と一緒に弁護士費用を支払わなくてはいけないので、なるべく弁護士費用を安く抑えたいものです。
不倫慰謝料の減額を取り扱っている弁護士はたくさんありますが、どの事務所も弁護士費用は異なります。
そのため、たくさんの弁護士を比べて費用を計算し、安く抑えられる弁護士を探しましょう。ここでは弁護士費用を比較する時のポイントをご紹介しますので、弁護士費用を比べる時に役立ててください。
法律相談時の対応が良い
高度専門職と言われている弁護士ですが、サービス業と同じような役割です。法律の相談を行った時に、サービス業としての意識の高さを窺い知ることができます。
相談した時の弁護士の態度や、法律に関する説明の分かりやすさなどをメモしておき、様々な事務所を巡ってみてください。
自分に合った弁護士を探す時にも、大変役立つので覚えておきましょう。
着手金が安価
弁護士費用をなるべく安く抑えたい場合は、着手金が安価に設定されている弁護士事務所を選びましょう。
事件の内容によって金額が異なる着手金ですが、一律で統一してある弁護士事務所もいくつかあります。着手金を一律で統一してある弁護士事務所を選べば、弁護士費用が安く済むかもしれません。
しかし着手金を一律にしている弁護士事務所は、通常の不倫慰謝料問題に掛かる着手金の相場を上回っている可能性があります。
そのため、きちんと不倫慰謝料問題の相場をチェックしてから依頼すると良いでしょう。また、着手金が安価な弁護士は成功報酬が高くなる場合もあるので注意してください。
無料相談ができる
できるかぎり弁護士費用を抑えたい方は、無料相談ができる事務所を訪ねてみることもおすすめです。大手の弁護士事務所は、気軽に相談してほしいがために相談料を無料にしている事務所が多いです。
中には着手金と相談料を一緒にしている事務所もありますが、そのような事務所は成功報酬が高額になる可能性があるので注意しましょう。
弁護士費用の内訳をきちんと説明してくれる
弁護士費用を比較するためには、相談時に弁護士費用の内訳をきちんと説明してくれる場所を選ぶと良いでしょう。
弁護士費用の内訳を説明してくれる弁護士事務所は、今後の手続きの進め方やその後の経過の報告なども丁寧に行ってくれます。
相談した時に弁護士費用の内訳を説明して教えてくれない事務所は、実績や成功例も不明の場合が多いので注意してください。
不倫慰謝料に強い弁護士を探す時のポイント
不倫慰謝料を減額するためには、不倫慰謝料に強い弁護士を探す必要があります。また弁護士費用をなるべく安く抑えるためにも、不倫慰謝料に強い弁護士を探しておけば安心です。
そこで最後は、不倫慰謝料に強い弁護士を探す時のポイントをご紹介します。
不倫事件の経験数が多いかどうか
最初に押さえておきたいポイントは、不倫事件の経験数が多いかどうかです。なぜなら、不倫事件の経験数が多い弁護士事務所であれば、不倫慰謝料の請求や減額の成功例が多いからです。
事務所によって強みがあり、離婚問題に詳しい事務所もあれば不倫問題に特化している事務所もあります。
不倫事件に特化している事務所だと、事件の進行方法や処理の仕方などを熟知しているため安心して任せられます。
不倫慰謝料の交渉や裁判の経験が豊富
不倫事件を多く扱ったことがある弁護士は、実践でノウハウや条件を有利にするテクニックなどの経験が豊富です。
特に離婚などと比べると不倫慰謝料は裁判に発展しやすいため、裁判の経験がありなおかつ成功例がある弁護士を依頼すると良いでしょう。
男女問題に詳しく知識が豊富な弁護士かどうか
不倫慰謝料には離婚問題も付いてくるため、離婚問題や男女問題に詳しい弁護士に依頼した方が安心です。男女の問題に知識が豊富な弁護士であれば、不倫慰謝料と同時に離婚問題も解決してくれる可能性があります。
離婚には財産分与や養育費など様々な内容が問題になるため、経験と知識が豊富な弁護士を選ぶと良いでしょう。
まとめ
不倫慰謝料を請求された場合の弁護士費用の相場や、弁護士費用を安く抑える方法をご紹介してきました。不倫慰謝料と弁護士費用を払うには多額のお金が必要になってくるため、なるべく安く抑えたいものです。
中には不倫慰謝料と同時に離婚問題にも発展する方もいるため、先に相談無料の弁護士事務所に赴き、事件内容を相談してから事務所を決めると良いでしょう。
安く抑えるためには、無料相談を行っている事務所や着手金が無料の事務所を調べておくと安心です。
しかし着手金を安くしている、または無料にしている事務所の中には、成功報酬が高めに設定されていることがあるので注意してください。
弁護士費用を安く抑えたい場合は、示談交渉で終えられるように早めに弁護士に相談することをおすすめします。