ダブル不倫(だぶるふりん)とは、既婚者の男女が交際して肉体関係を持っている状態を指します。既婚者の不倫というと独身の人と関係を持つイメージがありますが、既婚者同士が関係を持つケースも多いです。
しかし、互いに配偶者がいる状態での不倫なので、リスクはより大きくなり、問題も大きくなりやすいの、本来なら避けたい行為です。
不倫問題はよくある夫婦トラブルですが、ダブル不倫により問題が大きくなるケースも多いです。そもそもダブル不倫とはどういう状態なのか、離婚や慰謝料請求の際にどういう影響を受けるのでしょうか?
本記事では、意外に知らないダブル不倫の基礎知識やリスク、慰謝料などについてご紹介します。
ダブル不倫が起こる主な3つのきっかけ
ダブル不倫になるきっかけには、以下のものが挙げられます。
仕事関係者
同僚や上司、部下など仕事関係者と親密になるケースも多いです。同じ目的や目標を持って仕事に取組む仲であり、行動を一緒にする機会も多いので、いつの間にか恋に落ちていたという話も珍しくありません。
不倫が分かれば職場に居づらくなるとは想定できるものの、一度関係を持つと断ち切るのは難しいと言えるでしょう。
妻が出産や介護などで実家に帰省
出産や介護などを理由に妻が実家へ長期間帰ったことをきっかけに、不倫を始める人もいます。妻の目が届かないので気が緩み、いない間ぐらいはいいだろうと思い始める男性は多いです。
しかし、妻が帰ってきた後も関係が続き、最終的に離婚や慰謝料を請求されるパターンもよくあります。
飲み会や同窓会
友人同士の飲み会や同窓会で異性と出会い、その日をきっかけに交流が続き、不倫関係になるケースも多いです。特にお酒を飲む場は酔って雰囲気が盛り上がりやすくなり、お互いに肉体関係になることを簡単に許してしまう傾向があります。
その深みにハマった結果、一度きりの関係を超えてしまいがちです。
ダブル不倫をしてしまう理由4つ
ダブル不倫をしてしまう理由は、男女それぞれに色々な理由があります。既婚者が不倫に走りやすい理由や心理を見ていきましょう。
割り切った関係でいれるから
お互い既婚者であることを理解しており、家庭を壊さない程度に不倫関係を楽しもうという節があります。どちらかが本気になってしまうと別れる際にトラブルになりやすく、面倒と感じる人は多いです。
しかし、お互いが割り切った関係でいることを了承していれば別れ際にトラブルが起きにくいので、いつでも関係を切れると思い、ますますハマってしまう傾向があります。
孤独感から解放されたい
夫婦で生活を共にしていても孤独感があり、不倫に走るケースもあります。特に仕事で忙しい夫を持つ妻に多いです。
しかし、仕事や子育て、介護を優先する妻である場合、男性も孤独感から不倫に走ることがあります。
ストレスの発散になる
特に男性に多いケースですが、仕事や家庭にストレスを感じる人は不倫を通じてストレスを解消していることがあります。罪悪感から妻に優しくできるようになるので、その理由を正当化させて不倫を続ける人もいます。
日常生活にはないスリルを求めて
ダブル不倫は不倫相手と2人だけの秘密を持つことになります。知られては危険というスリルにハマり、関係を持ち続けるパターンも多いです。
特に夫婦関係や仕事などに不満がなくても、ドキドキ感や刺激を味わいたいという人はダブル不倫に走りやすい傾向があります。
女性の場合は、「禁断の恋」に憧れている人もおり、特に夫婦関係が良好でない時に不倫しやすいです。
ダブル不倫のリスク
ダブル不倫は独身相手の不倫と比べて背負うリスクはより大きいなものとなります。
具体的にどのようなリスクがあるのか見ていきましょう。
自分や相手の家庭を壊す
ダブル不倫の事実が自分の配偶者、そして不倫相手の配偶者に知られてしまえば、双方の家庭が破綻してしまう可能性があります。
不倫が分かれば配偶者はもちろん、子どもがいればその子どもも傷付いてしまうのは誰もが想定できることです。
また、ダブル不倫だと不倫相手の配偶者とその子どもも自分たちの行いにより傷付けてしまうことになります。つまり、不倫相手が独身である時よりも、さらにたくさんの人を傷付けてしまうことになります。
家庭が壊れる原因が離婚にある場合、夫婦関係や親子関係の修復は難しいと言えるでしょう。傷付いた子どもからは蔑視され、面会の機会も得られない可能性があります。
高額な慰謝料を求められる
不倫相手が独身であれば離婚時に自分の配偶者から慰謝料を請求されます。逆に自分が独身であれば、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されるだけで済みます。
しかし、ダブル不倫では不倫相手の配偶者から、離婚になれば自分の配偶者からも請求され、通常よりも高額になる可能性が高いです。
また、子どもがいれば離婚の際に養育費の支払いも請求されるでしょう。
退職に追い込まれる可能性がある
不倫をする人間を会社に起きたくないと考える会社は多いです。特に不倫相手は同じ会社であった場合、トラブルのある人物を置きたくないという考えから自主退職を薦められる可能性があります。
社会的信頼を失うことになる
不倫自体、不名誉なことですが、ダブル不倫となるとさらに世間からの風当たりは強いです。
この手の噂は近所に回るのが早く、下手すれば親しかった友人や恩師などにも話が伝わり、関係を切られてしまう恐れがあるでしょう。
ダブル不倫では自分の配偶者や子どもだけではなく、自分の両親や親戚の態度も冷たくなったり、勘当されたりする人もいます。
ダブル不倫における慰謝料請求の注意点
ダブル不倫が発覚した場合、被害者は配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求できますが、注意点があります。
痛み分けになる可能性
自分と不倫相手の配偶者の両方がダブル不倫の事実を知っている状態で、双方が離婚せずに慰謝料を請求する場合、お互いに請求し合う形となるので痛み分けになる可能性があります。
支払う慰謝料が高く、逆にもらえる金額が少ないと慰謝料を貰ったとしても手元に戻らない状態となってしまうでしょう。それなら、請求せずに示談で解決した方が良いという形になるかもしれません。
不倫相手の配偶者が気付いていない場合
自分だけがダブル不倫に気付いていることもあるでしょう。この場合、不倫相手の配偶者に知られていなければ被害を受けた人は自分一人だけとなるので、不倫相手に慰謝料を請求すれば損はしません。
慰謝料を請求したいのであれば、不倫相手の配偶者に事実を知られないように配慮して請求すれば、慰謝料を手にすることが可能です。
ダブル不倫の慰謝料相場は100~500万円
ダブル不倫の場合、請求できる慰謝料の相場は100~500万円です。これは一般的な不倫でもほとんど変わらない金額です。ただし、500万円の請求は非常にまれであり、実際は300万円以内と考えていた方が良いでしょう。
慰謝料を支払う当事者は離婚された上に不倫相手の配偶者からも請求を受けた場合、相場の倍の金額を支払うことになるでしょう。
ダブル不倫の慰謝料は様々な要素が加味されて算出されるので、条件次第では高額な慰謝料の要求が可能です。金額が上がる要素には、以下のものが挙げられます。
ダブル不倫による慰謝料額が上がる要素
ダブル不倫で慰謝料を請求する場合、どれくらいの金額を請求できるのでしょうか?
一般的な相場や金額が上がる要素をご紹介します。
相手が高収入である
慰謝料算定では自分や請求した相手の収入が配慮されます。相手は自分よりはるかに高額な収入を得ている場合、それをベースに慰謝料を求めていくので高くなりやすいです。
苦痛のレベル
ダブル不倫によりどれだけ精神的なダメージを受けたのか、その度合いでも慰謝料の金額は変動します。不倫を理由に心や体の調子が悪くなったという事実が認められ、うつ病など苦痛レベルが高いほど慰謝料に金額は高くなります。
不倫をきっかけに家庭崩壊
家庭が崩壊した原因がダブル不倫にあれば、それ相応の精神的なダメージを受けたと見なされます。
そのため、精神的損害をカバーできるだけの金額請求が可能です。しかし、元々夫婦関係が壊れている場合は不倫のダメージは少ないと考えられ、高額請求が難しくなる場合があります。
夫婦関係の長さ
婚姻関係が長いと精神的なダメージは大きいと考えられ、慰謝料が高くなる可能性が高いです。実際の裁判でも婚姻関係が長い事例の方が、高額請求が通っている傾向があります。
婚姻期間だけではなく、結婚前から長く同棲していた場合も配慮されることが多いです。
ダブル不倫の期間が長い
ダブル不倫がどれだけ続いていたかも重要なポイントです。長期にわたりダブル不倫が行われていた場合、その間ずっと配偶者を騙していたことになります。
裏切り行為が長ければ長いほど不倫の責任は重いと考えられ、請求が通る金額も高くなります。
どちらが主導だったか
不倫の主導者がどちらにあったのかによっても慰謝料の金額に差額が生じます。基本的に不倫を主導した人物の方が責任は重いとされているので、増額が可能となる確率は高いです。
悪質である
ダブル不倫では双方が既婚者であることを認識しているケースが多いです。既婚の事実を知った上での不倫は故意や過失があると言え、慰謝料の請求が通ります。
もし、結婚を知っている上で相手の家庭を壊すことを狙っていれば、その行為は悪質が高いとみなされて金額が上がる可能性が高いです。
子どもの有無
自分の未婚の子どもがいる場合、子どもの将来も含めて慰謝料が計算されます。そのため、通常よりも高額の慰謝料をとれるでしょう。
また、ダブル不倫の事実が子どもに悪影響を与えることが認められた場合、それも加味されて金額が上がる可能性があります。
ダブル不倫での慰謝料請求を成功させる方法
ダブル不倫の慰謝料は、請求する側に故意や過失があったこと、2人が家庭を壊すほどのダメージを与えられる親密な交際関係であったことが認められれば請求できます。
慰謝料の請求を成功させるためには、次のポイントを押さえておきましょう。
肉体関係を持っていたことが分かる証拠
慰謝料請求で有効な手段は、2人が肉体関係を持っていた証拠を提示することです。法的観点からも不貞行為と認められるかどうかは、主に肉体関係を持っていたかどうかが焦点となります。
ただ、実際は片方が一方的に同意なしで行われた時や1度きりの関係であった場合、請求自体できなかったり、できても請求額が下がったりする可能性が高いです。
定期的に会い、数回にわたり肉体関係を持っていた証拠がないと、慰謝料請求は難しいと言えます。
具体的に証拠となるものは以下のものが挙げられます。
- ラブホテルに入る2人の写真や動画(10分以上の滞在で有効)
- 肉体関係をにおわせる内容のメールやSNSでのやり取り
- 不倫デートで使われた可能性があるホテルやクレジットカードの明細
- 不倫を認める文章(脅して書かせたものは無効) など
証拠集めは本人にバレると証拠となるものを破棄されたり、警戒されて証拠が掴めなくなったりする可能性があります。素人では調査が難しい部分があるので、探偵や興信所に調査してもらうと良いでしょう。
既婚の事実が分かる証拠
不倫相手の中には既婚者だと知らなかった、騙されたと言い、慰謝料の請求を拒むケースもあります。このケースを回避するためには、不倫相手が既婚者と交際していたことを知っていたのか証明が必要です。
例えば、メールや会話のやりとりで自分の話題に触れていれば、既婚の事実を知った上で交際していたことを示す証拠になります。
他にも、不倫相手が配偶者と同じ職場で働いていたり、共通の友人がいたりすれば、既婚者だったことを知っていた可能性が高いです。
既婚者の事実を知っていてダブル不倫をしていたのであれば、十分に故意や過失があったと認められるので、慰謝料の請求が通ります。
まとめ
ダブル不倫は2つの家庭を巻き込むことになるので、普通の不倫よりも複雑なトラブルと言えます。
状況によっては慰謝料を請求しても痛み分けで終わり、すっきりとせず、配偶者に不信感を持ったまま終わってしまう可能性もあります。
慰謝料の請求では、ダブル不倫の事実を裏付ける証拠も必要です。ある程度証拠が揃い、配偶者や不倫相手に慰謝料を請求するのであれば、弁護士に相談して準備を進めていくと良いです。
複雑なダブル不倫に対しても的確なアドバイスを受けられるので、妥当な金額で慰謝料を獲得できるでしょう。