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離婚の際の親権を父親が獲得する為に有利となる7つの知識

離婚する際に子供がいれば必ず問題になるのが親権ですが、父親が親権者となるのは母親に比べて不利になることが多いとされています。

離婚調停においても、調停委員は母親に親権を獲得させる方向で調整しようとしますし、実際、親権を獲得するのは母親であるケースが8~9割となっているのが現実です。

ただ、親権の獲得のキーポイントとなるのは「子どもの幸せ」ですので、父親と母親のどちらが子どもを養育した方が幸せになるかという評価基準から見れば、「父親が子供を養育した方が子供は幸せになる」という事実をさえ証明できれば、父親の方が親権者として適切であると判断されることも十分あり得ます。

そこで今回は、離婚の際に父親が親権を獲得するために、有利となる知識をご紹介していきますので、参考にして頂ければと思います。

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Contents

離婚時の親権獲得でなぜ父親が不利になるのか?

親権を父親が取りにくいと言われるにはそれなりの理由もありますので、なぜ親権獲得が不利になるのか、まずはその理由をご紹介していきます。

離婚調停の判例では母親の親権獲得率が多いという実績がある

平成25年度の司法統計によれば、過去の離婚調停や離婚審判で父が親権者となったものが1899件報告されていますが、一方母親が親権者となったものは18740件となっており、離婚時に親権者が母親となる割合は9割を超えているというのが実態です。

つまり、それだけ母親が親権者となった方が良いと思われている実績があるため、父親が親権者となるのは難しいというのが一つの理由です。

母親からは養育費の支払いが期待できないから

また、平成18年に行われた全国母子世帯等調査の結果を見ると、養育費を受け取っていると答えた者は全体の19.0%となっています。さらに、父子家庭は母親から養育費が支払われないことも多く、平成23年度の母子世帯調査でも、父子家庭がもらっている割合は4.2%にとどまるという結果になっています。

離婚したあとの生活を安定させにくい母親側から、子どもの養育費を取るのは困難ではないかとされているのが主な理由です。

父親は離婚しても生活サイクルが変わる可能性が少ない

父親が親権を獲得しやすい理由として、仕事をメインにしている父親は離婚した後も生活サイクルが大きく変わることはないだろうという見方があります。もし、毎日帰りが遅い父親であった場合、幼いことどもの幼稚園の送り迎えや、園内行事への参加など、子どもとの接触時間が急に伸びる可能性は少ないですし、いきなり帰りが早くなったり、ライフスタイルが劇的に変化することはないと思われています。

金銭面の心配はないにしても、お金があれば子どもを育てられるかというとそうではありませんので、こういった点でも父親不利の現状が見えてきてしまいますね。

子どもが母親を選ぶことが多い

子どもは赤ん坊のことから基本的に母親と24時間一緒にいるケースが多くなりますし、子育ては長期にわたる重要な役割です。嫌なことがあっても投げ出さずに世話をしてきたという実績がありますし、それだけ長時間一緒に過ごしてきた以上、子どもにとっても母親の方が父親よりも愛情を感じることは多いでしょう。

もちろん一概には言えませんが、子どもも母親と一緒にいたいと考えるケースも多くあります。

仕事をしていると子どもの養育が疎かになると思われている

父親は朝から晩まで仕事をしているケースが多く、子供の養育がきちんと出来るかが不安とされるのも、親権獲得を妨げる大きな理由です。特に6歳以下の子度は保育園や保育園に、6歳以上になれば民間の保育施設に預けることになりますが、保育園は定時が17時〜18時に設定されていることが多いため、残業が発生したら定時に迎えに行くことは不可能でしょう。

最近は育児に対する意識を高く持つ企業もちらほらいますが、まだまだ仕事に融通が効く環境ではありませんし、父親は育児の経験もそもそも乏しいため、ちゃんと子どもの面倒を見られるのか疑問とされる傾向もあります。

経済的な幸せよりも精神的な幸せは重視される

なぜかというと、経済面は相手方から「養育費」の請求することで補えますので、パートで収入が少ない母であっても、子供と一緒に生活する時間がながく、積極的に子育てに関わっていける環境がある母親が有利になってしまいます。ただ、裏を返せば、一緒にいる時間さえ作れれば、親権者として適切と判断されることは十分あり得るということです。

 

父親の親権獲得を有利に進める為に知っておくべき13のポイント

では、こういった父親不利の状況から親権を獲得する為にどのようなことをしていけば良いのか、そのポイントをご紹介していこうと思います。

親権者の決定に大事なことは子どもの幸せ

裁判官や調停委員、あるいは調査官の世界では、親権においては「子の福祉」を重要視すると言っています、つまり「子供の幸せを考えた場合父親と母親のどちらが良いのか」という観点から親権を考えるのがセオリーです。

協議離婚や調停でも裁判所と同じように、子供の幸せの観点を意識すると良いでしょう。決して感情的な部分を否定するわけではありませんが、一旦事実を機械的に出しておく作業も時には必要でしょう。

子どものへの愛情を示す

単純に、子どもへの愛情が大きい方が親権者としては良いと判断されます。ただ、愛情は定量的に測れるものではありませんので、これは客観的な事情から判断される傾向が強く、子どもと過ごした時間が長い、別居していた際に子どもと一緒に住んでいた方も、子どもに対する愛情が大きいと判断される傾向にあります。

現在子どもと同居している側の監護状況が一つのポイントとなります。子どもの養育にとって適切な環境を整えていることをアピールしましょう。

子どもとの信頼関係が強いこと

子どもが父親を選ぶということが最も強い信頼関係を示す手段になります。離婚時に子どもに選ばせるというのは酷な話かもしれませんが、もし自ら父親を選ぶようであれば、親権獲得の可能性は飛躍的に高まるでしょう。

子どもの年齢

子どもが幼ければ幼いほど、親権は母親有利になってしまいます。また、妻が妊娠中の場合は原則としてそのまま母親が親権者となりますので、この点は注意しておきましょう。

離婚後に子ども為に生活を変えられるかどうか

「未来志向」という考え方があり、「これまでどう子どもを育ててきたか」より「今後どう育てていくのか」という視点で判断されるケースもあります。これから先の未来、子供を自分が育てることが幸せにつながることを伝えるためには、「今まで」はどう育ててきたのか、「今」はどう育てているのかが重要になります。

つまり「今まで」ほとんど子育てをしてこなかった父親でも、1人になってから、「今」はちゃんと子供を育てているというのであれば,父親が親権者として適切であると判断されることもあり得ます。

これまで子どもが住んできた場所を維持できること

これは現状維持の原則と言って、父親の転居や子どもの転校がないことが判断基準になります。生活環境の変化は子どもの成長過程では大きな影響を与えるため、離婚した後に転校をする場合や、転居を伴う場合、仲の良い友達と離れるのは辛いと判断される可能性がありますので、父親が離婚後も現在の住居に住み続け、母親が転居する場合は父親が有利に働きます。

肉体的・精神的に健康でいること

もし父親の健康状態が良くなかったり、精神的に不安定になる要因があると、親権者としてはふさわしくないと判断される可能性が高いです。

子育てに十分な時間が取れていること【養育実績】

子供と一緒に遊んだり、出かけたりしていることが多いならそれは必ず主張しましょう。もし日頃から見かけている近所の人々がいれば、「陳述書」として整えておくということもできます。

親権者は「自分の自由に使える時間」を捨てる覚悟も必要です。本来両親が協力してすべき仕事を1人で担うわけですから当然親権者の負担は大きくなります。そういった時に、趣味や友達づきあいを減らせること、ワークライフバランスが保てないような場合には,転職も考えざるを得なくなります。

経済的な余裕があること

父親であればあまり心配することはないかと思いますが、金銭面が問題で子どもに不自由な生活をさせるようであれば親権者としては不適切だと判断されることがあります。

別居しているが子どもが父親といれば親権獲得の可能性は高い

単純に一緒に住んでいる時間が長いことも判断基準になります。たとえば、夫婦が別居したタイミングで子どもが父親の方と一緒に住んでいれば、信頼関係は強いと判断できる一つの基準になります。

母親の養育能力に問題がある場合は指摘する

母親の方が子どもに対して暴力を振るっていたり、浪費癖、人格上の問題、浮気ぐせなどで不特定多数の男性と外出している、持病などの健康上の問題があるなど、子育上の障害が認められれば、父親が親権者として認められやすくなります。

親族との協力関係が築けること

離婚したあとに、親族と協力関係が気付けるかどうかも、親権獲得の一つの基準になります。父親が親権者となると仕事の都合などもあり、どうしても時間的な都合が合わせられない可能性もあります。そういった時に親族の協力を得やすい立場の人であれば親権者となれる可能性は比較的高まります。

親権者となったら面会交流を行うかどうか

もし親権者となった場合に、相手に定期的に子どもと会う機会を与える面会交流を認めるかどうかもポイントになります。子どもにとっては離婚しても親子関係がなくなるわけではありませんので、半年に1回でも相手側に合わせる姿勢を見せておくことは重要になります。

離婚調停では調停員を味方につけることが重要

もし、離婚調停で親権獲得を争う場合は、調停の進行をする調停委員を味方につけることが大事です。調停委員も人間ですので、彼らの判断がこちらに有利になるよう、気に入られる(よく見える)態度をとることで、親権獲得の確率は飛躍的に高まります。

 

もし離婚時に父親が親権を獲得できなかった場合

次に、もしも父親が親権の獲得に失敗した場合の対策をご紹介していきます。調停や審判で親権の獲得ができなかったからといって、必ずしも一生子どもと会えなくなるわけではありませんので、希望は捨てないようにしましょう。

離婚調停で親権が獲得できなかった場合は裁判を申立てる

親権争いで、親権者の指定等を調停に申立てている場合、離婚調停が不成立の場合は自動的に審判へと移行しますが、親権者の指定は人事訴訟事件として扱われるため、調停が不成立の場合は、あらためて離婚裁判を起こす必要があります。

裁判となればひとりで戦うことは難しくなりますし、証拠の有無や事実を証明する書面の用意などが必須になりますので、調停が不成立になった際には、一度専門家である弁護士に相談すると良いでしょう。

できれば裁判になる前に弁護士に相談しておくことで、調停を有利な状態で終わらせることができると思います。

面会交流権だけは獲得しておく

父親の親権獲得は、どんなに調停で子どもへの愛情をアピールしたとしても、前提が不利であることを忘れてはいけません。そのため、親権を獲得することができなかった場合は、調停の場できっちり面会交流権を認めてほしいという主張だけはしていきましょう。

  • ・どのような頻度で会うか
  • ・1回あたり会う時間は何時間か
  • ・宿泊の可否
  • ・会う場所の指定はできるか
  • ・電話やメールの可否 など

上記のような内容を決めておけば、この範囲のなかでという条件はつくものの、子どもと会えなくなるという事態だけは避けることができます。

子どもとの繋がりを切らないことが何よりも重要

面会交流を獲得する意義としては、子どもとのつながりをいかに断ち切らないようにするかというのがポイントになります。人は単純に会う回数が多い人に対して好感を抱くという心理があります。これを単純接触効果と言います。

子どもの年齢が幼い場合、早い段階で会う機会を逃してしまうと忘れられてしまう可能性があります。のちのち自分の父親のことを気にしだすかもしれませんが、親戚のおじさんや近所のやさしい他人などのポジションになってしまってはいけません。

将来的には「親権者変更」の手続きを取れる可能性もありますので、その時になって子どもほうから拒否されることがないように準備しておくことも重要かと思います。

 

離婚時に父親が親権の獲得ができた事例

父親が親権を取るためには、母親よりも子供のための条件や環境が揃っていることが必要になりますが、下記の父親が親権者となった事例をご紹介していきます。

父親側の条件が良かったケース

  • ・父親の両親が同居をしていた
  • ・子供の面倒を見てもらえる環境が整っていた
  • ・父親の収入レベルが母親よりも明らかに健やかな養育環境が作れた
  • ・父親の日頃の養育状況が、子供との時間、保育園の送り迎え等で良かった

母親側の条件が悪かったケース

  • ・母親が子供を意図的に連れ去り父親に会わせないようにした
  • ・母親の収入が少ない上に借金がある
  • ・仕事時間が長く子供の発育のための環境が作れない

父親の方が明らかに母親よりもよい環境を準備できる場合は、父親の親権獲得の可能性が高いことをご理解いただけるかと思います。

 

親権獲得の際に知っておくと便利なこと

最後に、父親が親権の獲得をする際に知っておくと良いことを4つご紹介していきます。

不倫や浮気をした側でも親権者にはなれる

離婚の原因を作った方でも親権者になれる権利はあります。例えば、自分の浮気で離婚に至った場合でも、調停の結果として親権者となることは可能です。

基準はあくまで「子どもの幸せ」ですので、親権者として考えて場合「どう考えても浮気した父親がふさわしい」のであれば、親権者となることができます。

しかし、「相手の悪さ」と「子供の幸せ」が関連していることがあります。

夫の悪さ 妻の悪さ
夫が子供の目の前で妻を殴る 小学校に行っている間に妻が不倫
夫が、子供のいない所で妻を殴る 子供を独り家に残して妻が不倫
同じ暴力でも下の方が子供に与える害悪は大きいものになる。 同じ不倫(不貞行為)でも,子供への悪影響の程度が大きくなる。

目に見える形での過失などがあれば、親権者としてはふさわしくありませんので、注意しましょう。

子どもを味方につけようとするのは厳禁

特に小学校入学前の子供に直接希望を尋ねることは避けた方がいいでしょう。離婚調停中、調査官がこどもの意識調査をする際、様々な心理テストを使うことにより子供の気持ちを確認していく作業が入るケースもあります。

小学生ともなれば次第に理解も進んできますので、下手に子どもに「こう言いなさい」「●●してあげるから協力して」などといってしまうと、後々バレて親権から遠のく可能性が高まります。

財産管理権と身上監護権を別々に持つことも出来る

あまりないケースではありますが、母親には子どもの養育に著しく向かない要素があるのに、子供が強く母親との生活を望む場合です。親権の中には「身上監護権」と「財産管理権」というものが含まれており、こういった場合、養育費の支払いと身上監護権を、親権と引き換えに交渉するといった方法を採るケースもあります。

身上監護権とは

身上監護権とは、子供の世話や教育、子どもの姓名を変更するといった身分に関わる法律行為の代理人となれる権利のことです。

財産管理権とは

財産管理権とは、子供が現在〜未来において所有する財産を管理する権利や、商品契約時に親の同意が必要なときなどに、子供の法律行為に同意する権利が含まれます。

交渉では「身上監護権」を受け渡すかわりに、「財産管理権」をこちらに渡すよう伝えてみましょう。交渉によっては、身上監護権だけを母親に渡し、法定代理人としての権利(=親権)を父親が持つという扱いにすることができるため、単純に親権を争うより父親に親権が渡る可能性が高まります。

詳しくは弁護士などに相談して手続きややり方を聞いておくことをおすすめします。

母親の蒸発作戦には要注意

父親が仕事に出かけている間に子供を連れて、荷物ごといなくなるという事例。「離婚時に父親が親権の獲得ができた事例」では母親が不利となる事例として紹介しましたが、「現実の安定性」を重視する裁判の傾向では基本的に、母親の実家で子供が数カ月間元気に暮らしてきた事実があれば、母親へ親権が渡りやすくなってしまいます。

ただ、「現状維持の原則」というのもありますので、もし母親に子どもを連れ去られたら、まずは弁護士に相談して、今後の対策をしておくのが良いかと思います。

まとめ

離婚時に父親が親権を獲得するために知っておくべき知識をご紹介してきました。

ご覧の通り父親が親権を獲得するのは、何も対策を講じなければ難しいのが現状ですので、少しでも有利に親権獲得を進めたいのであれば、親権問題に詳しい弁護士などの専門家に、一度ご相談されることを強くおすすめします。

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