夫婦間の協議離婚の話し合いがまとまらなかった場合、次に行うのは離婚調停手続きになりますが、離婚調停を行ったからと言って、必ず離婚が成立するとは限りません。裁判官や調停委員が間に入って離婚を進めていたとしても、結局は当事者同士の合意が得られないことには離婚調停は不成立となってしまいます。
現実問題として、過去に行われた離婚調停の約半数は離婚成立以外の終わり方をしているという現実があります。そこで今回の記事では、離婚調停が不成立となってしまう4つのパターンと、離婚調停が不成立になってしまった場合に取れる4つの行動をご紹介していきます。
離婚調停不成立に関する内容と調停が不成立となる4つのケース
まずは、離婚調停が不成立となる理由や、離婚調停における不成立とはなんなのかを解説していきます。
離婚調停にやり直しはない
原則として、離婚調停で一度不成立という結果が出た場合、その結果を取り消すことはできません。通常、審判や裁判などでは控訴などで不服の申し立てが可能ですが、離婚調停では不服の申し立てが不可能というルールが設けられています。
つまり、裁判所から離婚調停の不成立証明が作成された時点で、調停を申し立てて戦ってきた内容は完全に終結となってしまいます。そのため、再度離婚調停を申し立てることは可能なのですが、すぐに離婚調停を申し立ててもあまり効果は見込めないため、しっかりと準備をしてから臨む事が重要になります。
離婚調停が不成立になる4つのパターン
1:離婚調停不成立の判決
離婚調停における成立不成立の判断は、際願書の調停委員が下しますが、彼らが調停をこれ以上進めても無意味だと判断すれば、調停不成立として調停を終了させます。
そのため、申立人と相手方が調停の続行を希望していたとしても、裁判官、調停委員、申立人、相手方などが同席し、調停の不成立という結論を確認する流れになります。
2:調停途中の取り下げ
離婚調停の申立人は、相手方と離婚条件について合意する見込みがなく、これ以上やっても時間の無駄だと判断する、あるいは早期に裁判へ移行したいと思えば、その理由を裁判官や調停委員に伝えることで調停を不成立として扱ってもらえるケースがあります。
■調停委員から不成立の提案が来ることもある
離婚調停で話し合いを行ったものの、調停離婚が成立する結果が見えない場合や、相手方が調停に出席しないといった場合が続いたりした場合、調停を取り下げる提案をするケースもあります。
■調停取り下げの方法
まずは裁判所へ取下書を提出し、裁判所で離婚調停の話し合い中に取り下げをしたいと希望すれば、取下書の書類をその場でもらうことができます。取下書が受理され了承されれば離婚調停は終了します。
3:相手方が調停に出席しない場合
調停手続きの濫用と判断できるケースや、相手が全く調停に来ない(欠席を続ける)などの状況が続くと、離婚調停を行うのが適切でないと担当裁判官と調停委員が判断し、調停を終了させることができます。実際にはこんな状況になることはあまりありませんが、不真面目で不当な目的を持つ調停は、裁判所の権限で中止させることができます。
4:強制的な終了
離婚調停の最中に申立人や相手方のどちらかが死亡して婚姻関係が解消されるような場合、離婚調停が自動的に終了となります。このような事情が発生したなら、すみやかに裁判所へ報告を行いましょう。
調停が不成立になる原因
離婚調停などと堅苦しい名前がついていますが、あくまで夫婦間での話し合いですので、当然両者が合意しなければ調停も不成立となります。夫婦の一方は離婚したい、しかし相手方は離婚したくないとなれば調停での離婚は成立しないのは自明の理と言えますね。
離婚調停が不成立になった後の4つの対処法
次に、離婚調停が不成立となった後にどのような対策が取れるのかを確認していきましょう。
1:もう一度離婚調停を起こす
離婚調停の制度上、調停は1回限りしか行えないと定められてはいませんので、一度不成立となった離婚調停に対して、不服申立ての制度は用意されてはいないものの、新たな申立てを制限してはいません。つまり、再度離婚調停を申立てることは可能です。
ただ、注意して欲しいのは、調停が不成立になったすぐのタイミングで調停を申し立ててもあまり意味がありません。離婚調停は、あくまで当事者間の合意を目指す制度ですので、交渉が決裂したばかりなのにすぐ合意に至ることは考えにくいでしょう。
2:協議離婚を行う
離婚調停は不成立になってしまっても、配偶者が離婚に対してどのような考えを持っていたのかを知れたと思えば、得るものは大きかったと考えることはできます。離婚調停を行う前はお互いに感情的になってしまっていた部分もあると思いますので、冷静に相手の気持ちを考えられなかった点も少なからずあるでしょう。
調停委員から得たアドバイスや、多少の時間を置いたこと冷えた頭で考えられた想いをベースに、もう一度協議離婚を行うことで、違った結果になるかもしれません。
3:審判離婚を行う
審判離婚という選択肢もあります。裁判官が、離婚をさせたほうが夫婦のためになると判断した場合に実行されます。離婚に伴う条件である養育費や婚姻費用の分担について、時間のかかってしまう裁判で争っていくとなると、当事者や子供の生活に悪影響を与えることが考えられます。
4:離婚裁判を行う
裁判離婚は訴訟による離婚方法のことで、話し合いによる協議離婚や調停離婚とは違い、法に定められた離婚理由がなければ離婚は認められないという事があります。また、有責配偶者からの離婚訴訟は原則として認められません。
離婚裁判(訴訟)の手順
まず、離婚調停が不成立となった旨を証明する「調停不成立証明書」を裁判所に交付してもらい、この書面の提出をもって、調停をすでに終えていることを証明しましょう。
離婚訴訟へ移行する場合、この訴状に添付する関係で一度取った戸籍謄本等を再度取得しなおさなければなりませんので、この手間を少しでも軽減するために、裁判所へ原本還付の申請をしていると戸籍謄本等の原本を返してもらうことができます。
離婚裁判を行う場合は弁護士へ相談がおすすめ
裁判離婚を行う場合は弁護士などの専門家の力が必要となります。離婚ナビには離婚問題が得意な弁護士のみを掲載しているので、必要に応じて相談してみてはいかがでしょうか。
参考:離婚裁判が得意な弁護士に相談|弁護士の探し方と弁護士費用
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離婚調停を不成立で終わらせないための対策
では最後に、離婚調停を不成立にしないためにできることをご紹介していこうと思いますので、参考にして頂ければと思います。
調停を有利に進める方法
調停委員を味方につける
最も有効なのは調停委員を味方につけることです。調停委員も人間ですので、調停委員の「同情を誘う」ことはかなり大きなポイントです。身だしなみはもちろん、口調なども気にしながら、第一印象を良く見せることを意識してみるとよいでしょう。
できるだけ多くの証拠を集める
浮気や不倫などの証拠が多いほど早期解決が計れますし、よりあなたの望む結果となる可能性が高まります。
効果的な陳述書を書く
離婚調停では円滑に進めるために陳述書を書くことができます。離婚調停の際に絶対に必要となるものではありませんが、時間は有限ですので、事前に陳述書を提出しておくことで裁判官や調停委員が内容を吟味した状態で迎えることが出来、話し合いもスムーズに進められます。
弁護士に相談して対策を考えておく
弁護士依頼することで以下のようなメリットがあります。
法律的にも強いサポートが受けられる
個人の主観よりも法律や判例に沿った合理的で論点が言えれば判断基準はこちらに傾きますので、弁護士に相談しておくことで明確な主張をすることができます。また、裁判所に提出する書類を用意するのはなかなか手間だったりしますし、書類作成を法律の素人が行うこと少々難しいのが現実です。
少しでも自分に有利な判決を得るためには、法律の専門家である弁護士からのサポートがあると安心して任せられます。
本気度を示せる
調停時に弁護士がいることで、離婚調停に対する本気度を示すことができます。弁護士を連れて来てまで離婚をしたいということが伝われば、相手の態度も変わる可能性が高くなります。
参考:離婚調停を弁護士に依頼するメリットと費用|有利に進める全知識
婚姻費用分担請求調停を同時に申し立てておく
離婚調停と婚姻費用分担請求は別の手続きになりますので、もし別居中などで生活費の請求などをしたい場合は、婚姻費用分担調を、離婚調停とは別に申し立てておくと便利です。
特に離婚調停が長引いている場合、離婚調停が調停不成立となって申立人が離婚調停を取り下げるときが、婚姻費用分担請求調停の終わり方を考えるべき大事な場面になります。
婚姻費用分担請求調停は「終わり方」によって経済的余裕や費用の負担感が異なりますので、養育費や面会交流、婚姻費用が欲しいなら、弁護士と相談して検討されるのが良いでしょう。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。離婚調停が不成立となった場合の対策や事前にやっておくべきことなどをご紹介してきましたが、参考になれば幸いです。