B型肝炎訴訟を行い、国から給付金をもらうには、まずは訴訟などを起こすための必要書類を集めることから始めます。これが一番大変な作業なのですが、実はこの必要書類を集めることで、B型肝炎給付金訴訟の8割は終了しますので、詳しく確認していきましょう。
B型肝炎給付金訴訟で獲得できる給付金額は?
B型肝炎ウイルス感染者給付金の額は以下のとおりです。
病態等 | 金額 |
死亡・肝がん・肝硬変(重度) | 3,600万円 |
肝硬変(軽度) | 2,500万円 |
慢性B型肝炎 | 1,250万円 |
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎の方で、現在も慢性肝炎の状態にある方等 | 300万円 |
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎の方で、現在は治癒している方 | 150万円 |
無症候性キャリア | 600万円 |
20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア (特定無症候性持続感染者) |
50万円 |
このほかにも、上記給付金に加えた訴訟手当金として、
- 訴訟等に係る弁護士費用(上記給付金額の4%に相当する額)
- 特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための検査費用
が支給されます。また、特定無症候性持続感染者に対しては下記の費用も支給されます。
- 慢性肝炎等の発症を確認するための定期検査費
- 母子感染防止のための医療費
- 世帯内感染防止のための医療費
- 定期検査手当
B型肝炎の給付金支給対象になる方の条件
集団予防接種で一次感染者となった方
1941年7月~1988年1月27日(昭和23年7月1日から昭和63年1月27日まで)の間に出生したことを前提に、その期間に集団予防接種を受けてB型肝炎ウィルスに持続感染している人を一次感染者と呼んでいます。
具体的な要件としては・・・
- B型肝炎ウイルスに持続感染していること
- 満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること
- 集団予防接種等集団予防接種で注射器の連続使用があった
- 母子感染でないこと
- その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと
B型肝炎訴訟ではこれらの要件を証明する必要があります。ちなみに対象期間とは、国が集団予防接種での注射器の使い回しを黙認していた期間とされています。この期間に集団予防接種を受けた人、つまり1941年7月1日~1988年1月27日の間に生まれた人、その方から母子感染した方(相続人を含む)なら、誰でも感染被害者である可能性が高いでしょう。
集団予防接種を行っていても、必ずしもB型肝炎ウィルスに感染するものではありませんが、気になる人は一度検査を受けてみることをおすすめします。
もし、B肝炎ウィルスに感染していても集団予防接種によるウィルス感染ではなかった場合は給付金の対象者ではありませんので、まずは感染経路を特定する必要があります。
母子感染によってB型肝炎ウィルスに感染した二次感染者の方
二次感染者は、母親から子供に感染してしまったケースで、これを母子感染(二次感染)と言います。
具体的な要件は・・・
- 二次感染者の母親が一次感染者の要件をすべて満たすこと
- 二次感染者がB型肝炎ウイルスに持続感染していること
- 母子感染であること
もし母子感染でB型肝炎給付金の請求をする場合、母親が一次感染者であると証明し、認められている必要があります。自分がB型肝炎に感染して調べてみたら、母や兄弟も感染していたというケースもあったようです。
平成26年1月24日から父子感染も給付金の対象
平成26年1月24日から、父子感染による二次感染も給付金の対象となりました。これまでB型肝炎ウイルスの二次感染は、出産時の母子感染だけだとされていましたが、平成26年1月24日から、国は父子感染の方も二次感染者として給付金請求の権利を認める方向に変わりました。
主な理由としては、唾液の中にB型肝炎ウィルスが含まれていることが確認され、免疫力の弱い乳幼児期に口移しなどで食べ物を与えていた場合、件数は低いものの、父親からでもB型肝炎ウィルスに感染する可能性があることが認められたからです。
もし父親が一次感染者と証明された場合や、父親がB型肝炎ウイルスに感染し、すでに亡くなっているといった場合も、父子感染(二次感染)している疑いがありますので、まずはご自身がB型肝炎ウィルスに感染していないかの検査を受けてみましょう。
ちなみに、父子感染の場合も、一次感染の場合と同じ「最大3600万円の給付金」+「訴訟等に係る弁護士費用(給付金額の4%相当額)」が基本的には支給されます。
B型肝炎の感染者が死亡している場合は遺族が給付金受取りの対象
また、既にB型肝炎ウィルスに感染した本人が亡くなっている場合、給付金対象者の遺族に給付金が補償されるケースがあります。もし亡くなっていてもあきらめず、感染の疑いがある場合は、一度専門家に相談してみると良いでしょう。
B 型肝炎の給付金対象者として認定されるまでの流れ
B型肝炎の給付対象者しての認定を受けるには、裁判所による和解手続き等を行い、国に対して損害賠償を求める訴訟の提起、あるいは調停の申立てで支給対象者として認定される必要があります。
【参考文献】厚生労働省|B型肝炎訴訟について
B型肝炎の感染者である事を証明する書類を用意する
大まかには集団予防感染(一次感染)であること、または母子感染(二次感染)であることのどちらかを証明する必要があります。
集団予防接種(一次感染)の場合に必要な書類
B型肝炎ウイルスに持続感染している事の証明 |
|
満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていることの証明 | 以下の①〜③のいずれか
|
集団予防接種等における注射器の連続使用があったことの証明 |
|
母子感染でないことの証明 | 以下の①〜③のいずれか
|
その他集団予防接種等以外の感染原因がないことの証明 |
|
母子感染(二次感染)の場合に必要な書類
原告の母親が一次感染者の要件を満たす事の証明 | 原告の母親が、一次感染者として認定される要件(前記参照)を全て満たしていることを証明する資料 |
当該原告が持続感染していることの証明 | 原告本人が;型肝炎ウイルスに持続感染していること(確認方法は一次感染者と同様)を証明する資料 |
母子感染であることの証明 | ①または②の資料
|
裁判所に提出する訴状の作成
B型肝炎の給付金をうけるには、裁判所にB型肝炎の給付金を請求する訴状を提出する必要がありますので、その訴状を作成します。
裁判所にて訴訟を行う
裁判所では、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」で定められた方針にもとづいて、集団予防接種の際の注射器の使い回し」が、B型肝炎の感染原因だということを、国に認めてもらうための手続きを行います。従って、B型肝炎訴訟においては、資料がきちんと揃っているかど証明できるかどうか?)の確認作業を、双方で進めていくような内容になっています。
提訴
裁判所に訴状を提出します。提訴する裁判所は、集団予防接種等が行われた場所を管轄する地方裁判所、もしくは東京地方裁判所となります。
B型肝炎給付金訴訟に必要な費用
B型肝炎訴訟にかかる費用として大きなものとしては以下の2点です。
印紙代
印紙は郵便局等で購入することができますが、必要な印紙の金額は症状によって異なります。
症状 | 金額 |
死亡・肝がん・肝硬変(重度) | 12万8000円 |
肝硬変(軽度) | 9万5000円 |
慢性B型肝炎(発症後20年経過していない方) | 5万9000円 |
慢性B型肝炎(発症後20年経過、現在も慢性B型肝炎の状態にある方等) | 2万0000円 |
慢性B型肝炎(発症後20年経過、現在は治癒している方) | 1万3000円 |
無症候性キャリア(感染後20年経過していない方) | 3万4000円 |
無症候性キャリア(感染後20年経過した方) | 5000円~ |
郵券代
郵券代は裁判所により異なりますが、おおよそ6000円程度です。
B型肝炎の給付金訴訟を行うために必要な書類は?
B型肝炎ウイルス問題において国側は過ちを認め、感染者のみなさまに対し、給付金やケアなどの各種救済措置を図っていますが、誰でも請求してしまうと莫大な金額になりますし、B型肝炎ウイルスに感染した事実を証明しなければ、給付金を不正に得ようとする方に対処する事が出来ませんので、必要な手続きだという事です。
B型肝炎訴訟において診断書はかなり重要なもの
B型肝炎訴訟では、病態によって受けられる給付金の金額が大きく違ってきます。病態が重ければ重いほど当然給付金の金額は高くなりますし、病態が軽ければ給付金は低くなります。
病態等 | 金額 |
死亡・肝がん・肝硬変(重度) | 3,600万円 |
肝硬変(軽度) | 2,500万円 |
慢性B型肝炎 | 1,250万円 |
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎の方で、 現在も慢性肝炎の状態にある方等 |
300万円 |
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎の方で、 現在は治癒している方 |
150万円 |
無症候性キャリア | 600万円 |
20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア (特定無症候性持続感染者) |
50万円 |
B型肝炎訴訟では、訴訟手続きで病態について、医師の判断を仰ぐ必要がありますが、基本的にはカルテや各種の検査結果などの医療記録にもとづいて行われます。また、B型肝炎訴訟の病態判断のための診断書は、専門医療機関で作成してもらう必要があります。
それ以外の機関で診断書を作成してもらっても、B型肝炎訴訟には使えないので注意が必要です。さらに、この診断書を基に病態が決まりますので、医師と相談して確実な診断書を作りましょう。
一次感染している場合に必要になる書類
まずは、一次感染者が給付金を受けるために必要な書類を確認していきましょう。
B型肝炎ウイルスに持続感染していることを証明する書類
まずは自分が「B型肝炎ウイルスに持続感染していること」を証明する必要があります。B型肝炎の給付金は、持続感染(一次感染)している人のみを給付の対象としているため、一過性の感染があっただけではB型肝炎給付金の支給対象にはなりませんので、注意が必要です。
一次感染(持続感染)していることの証明には、以下の(1)また(2)のいずれかの書類が必要になります。
(1)6か月以上間隔をあけ、連続した2つの時点でのいずれかの検査結果
- HBs抗原陽性
- HBV-DNA陽性
- HBe抗原陽性
(2)HBc抗体陽性(高力価)
この他にも、医学的知見を前提とした個別の判断によって、B型肝炎ウイルスの持続感染が認められる場合もあります。また、B型肝炎に感染しているかどうかを検査する場合、市町村で検診を受けたり、各都道府県の保健所で肝炎ウイルス検査を受けることができますが、最近では自分で検査をすることもできます。
満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること
満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていることを証明するには、母子手帳または予防接種台帳のいずれかのものが必要になります。
- 母子健康手帳
- 予防接種台帳(市町村が保存している場合)
各市区町村の予防接種大腸の保存状況については、厚生労働省ホームページで公表されています。
もし母子健康手帳も予防接種台帳もない場合
母子健康手帳や予防接種台帳が提出できない場合は、以下の書類が必要です。
- 接種痕意見書(医療機関において作成)
- 母子健康手帳または予防接種台帳を提出できない事情を説明した陳述書
- 接種痕が確認できる旨の医師の意見書(医療機関において作成する)
- 住民票または戸籍の附票(市区町村において発行してもらう)
意見書とは、所定の様式にしたがって医療期間の医師が作成するものです。
【意見書のサンプル】
集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
B型肝炎訴訟では、昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に注射器の連続使用があったと考えるとして国が非を認めていますので、この期間に集団予防接種等を受けていれば、特段の事情がない限りは注射器の連続使用があったものと認められます。
その時期に集団予防摂取が受けていたかどうかは、母子健康手帳や予防接種台帳の記載から確認できますが、もし母子健康手帳や予防接種台帳がない場合には、昭和16年7月2日から昭和63年1月27日までの間に出生していることを確認するための資料が必要です。
母子感染ではないこと
母子感染でないことを証明するための書類は、いずれかの資料が必要です。
(1)母親のHBs抗原が陰性かつHBc抗体が陰性(または低力価陽性)である検査結果
もし母親が死亡している場合、母親が80歳未満の時点におけるHBs抗原陰性の検査結果のみで大丈夫です。逆に80歳以上の場合は、HBc抗体も併せて確認することが必要になります。
(2)年長の兄弟(姉妹)のうち一人でも持続感染者でない者がいること
これは母親が死亡している場合に限った話になります。
(3)その他
もし(1)も(2)も用意できなかった場合、医学的知見を踏まえた個別判断により、母子感染によるものではないことが認められる場合には、母子感染でないことを推認する必要があります。
その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと
その他集団予防接種等以外の感染原因がないことを証明するには以下の3つの書類を用意しましょう。
(1)カルテ等の医療記録
集団予防接種とは異なる原因が存在する可能性が無いことを確認するために、カルテなどの医療記録については、以下の医療記録のうち現存するものが必要です。
- 直近の1年分の医療記録
- 持続感染の判明から1年分の医療記録
- 最初の発症から1年分の医療記録(発症者のみ)
- 入院歴がある場合には、入院中のすべての医療記録または退院時要約
退院時要約(サマリー)でも可能
(2)父親からの感染ではないことを証明する書類
父親と本人のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査結果(HBV分子系統解析検査結果)
(3)本人のB型肝炎ウイルスがジェノタイプAeではない事を証明する検査結果
ただし、ジェノタイプ検査は成人期の感染でないことを証明するものですので、平成7年以前に持続感染が判明(初診)した場合には不要になります。
病気の診断書または死亡診断書
現在の病状に関する診断書を用意しましょう。ただし、無症候性キャリアの方は,診断書は不要です。もし、相続人の方がB型肝炎給付金を請求される場合は、亡くなった原因がB型肝炎ウイルスの持続感染にあることを示す診断書が必要になります。
二次感染している場合に必要になる書類
次に、二次感染者がB型肝炎給付金を請求するために必要な書類を紹介していきます。
患者の母親が一次感染者の要件を満たすこと
患者の母親が一次感染者の要件を満たすことを証明するには、患者の母親が、一次感染者として認定される要件を全て満たしていることを証明する資料が必要になります。
つまり、「一次感染している場合に必要になる書類」の1〜4の書類を用意しましょう。
患者本人が持続感染していること
患者本人が持続感染していることを証明するには、母親がB型肝炎に感染しているだけではなく、本人もB型肝炎に感染している必要があります。そのため、患者本人についても一次感染者と同じように、B型肝炎ウイルスに持続感染していることを示す資料が必要になります。
(1)6か月以上の間隔をあけた2時点での、以下のいずれかの検査結果
- HBs抗原陽性
- HBV-DNA陽性
- HBe抗原陽性
(2)その他
- HBc抗体陽性(高力価)
その他、医学的知見を前提とした個別の判断によって、B型肝炎ウイルスの持続感染が認められる場合もあります。
母子感染であること
母子感染を証明する資料については、以下の(1)または(2)の資料が必要となります。
- 請求者が出生直後に既にB型肝炎ウイルスに持続感染していたことを示す資料
- 請求者と母親のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査(HBV分子系統解析検査)結果
※上記ⅰ又はⅱの方法以外に、母子感染とは異なる原因の存在が確認されないことを立証する方法も認められています。そのためには、以下の条件をすべて満たすことが必要です。
いずれの資料も用意できない場合
- 請求者の出生前、母親のHBe抗原の陰性が確認されないこと
- 請求者が昭和60年12月31日以前に出生している
- 医療記録等に母子感染とは異なる原因の存在をうかがわせる具体的な記載がない
- 原告のB型肝炎ウイルスがジェノタイプAeではない
- 父親について以下にあてはまるもの
- 父親が持続感染者でないこと
父親が持続感染者の場合であっても、請求者と父親のB型肝炎ウイルスの塩基配列が異なること
ご自身の病気の診断書または死亡診断書
無症候性キャリアの方は,診断書は不要ですが、相続人の方が請求される場合は、亡くなった原因がB型肝炎ウイルスの持続感染に起因する診断書が必要になります。
B型肝炎訴訟において検査にかかった費用も国に請求できる
B型肝炎訴訟を起こした際、B型肝炎であることを証明する検査を行う必要がありますが、国は「特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための検査費用」として、訴訟手当金の支給をしてくれます。
まず、厚生労働省のB型肝炎訴訟に関するホームページには、B型肝炎訴訟に関する支給金額(訴訟手当金)として用意している検査費用には以下のようなものがあります。
一般的なB型肝炎ウィルスの検査費用は手当金の対象
検査自体は全国の保健所や指定医療機関なら無料(低額)で受けることができます。ただ、自治体によっては検査費用がかかる場合もありますので、詳しくは、各自治体の保健所へお問い合わせ頂くのが良いでしょう。
血液検査|2000円前後
血液検査費用は健康保険の適用で920円です。これに診察料がプラスされ、約2000~3000円が目安になると思って良いかと思います。
超音波(エコー)検査|3000円前後
超音波検査費用1590円に診察料を加えると3000~4000円が目安になります。こちらも血液検査同様、保険適用外の場合は全額負担ですね。
塩基配列の検査費用|60,000円前後
B型肝炎に感染している証拠として母親のB型肝炎ウイルスと原告のB型肝炎ウイルスの塩基配列について、分子系統解析の方法を用いて比較した検査結果が必要です。この検査は保険給付の対象外ですが、和解が成立した場合には、給付金等と合わせて支払基金から検査費用として63,000円が支給されます。
父子感染の場合|65,000円
B型肝炎ウイルスは母子感染以外にも、輸血、父親などの家族内感染、性交渉による感染などの感染経路も考えられます。この検査費用については保険対象外ですが、和解が成立した場合、給付金等と合わせて65,000円が支給されます。
ジェノタイプAeではないことを証明する検査費用
B型肝炎訴訟では、原告のB型肝炎ウイルスのジェノタイプがAeではないことを証明する検査が必要です。
ジェノタイプとは?
ウイルスの遺伝子型と言われる型のことで、微生物やウイルスの遺伝子を構成する塩基配列の違いをジェノタイプとして表しており、ジェノタイプにはA・B・C・D・E・G・F・Hの8種類があります。
B型肝炎訴訟ではジェノタイプの検査結果がBであった場合に限って給付金の支払いがされます。この検査結果を用いて和解が成立した場合、遺伝子型の検査費用については2,300円。保険給付がない場合は8,500円が支給されます。
除斥期間を経過した無症候性キャリアの検査費用
除斥期間を経過した無症候性キャリアの方については、給付金50万円に加え、定期検査費用などが支給されます。
- 定期検査手当て:定期検査1回につき15,000円(初・再診料:自己負担分の全て)
- 上限回数の範囲内(年2回合計3万円)に限る
- 血液検査、画像検査(腹部エコー):年4回
- 画像検査(造影CT・造影MRI、または単純CT・単純MRI):年2回
HBVの母子感染を防止するためにかかる費用
支給の対象となる費用は、和解対象者が出産した時に、その子に対するB型肝炎ウイルスの母子感染を防止するため、上限回数の範囲内でワクチンの投与等およびこれに附帯する検査が行われた場合の費用分です。
上限回数
- 母親の血液検査 :子1人につき1回
- 子の血液検査(H;s抗原) :子1人につき2回
- 子の血液検査(H;s抗体) :子1人につき1回
- 子に対するワクチン投与 :子1人につき3回
- 子に対するグロブリン投与 :子1人につき2回
同居家族に対するHBVの水平感染を防止するために係る費用
支給の対象となる費用は、和解成立後に当該原告の同居家族になった者に対するB型肝炎ウイルス感染防止のため、上限回数の範囲内でワクチンの投与およびこれに附帯する検査が行われた場合です。
上限回数
- 血液検査:同居家族1人につきワクチン投与前後それぞれ1回
- ワクチン投与:同居家族1人につき3回まで
- 3回接種後にHBs抗体が獲得されていない場合、4回目の追加接種分も対象
B型肝炎訴訟における検査費用の請求方法
B型肝炎訴訟において、給付金などは全て和解成立後、支払基金に支給の請求をすることによって支払いが行われます。支払基金に対して給付金の請求を行う際、所定の様式の請求書とともに、必要な書類を提出する必要があります。
定期検査手当は受給者証が交付されるまで、定期検査費と合わせて支払基金へ請求していただく必要がありますが、受給者証交付後は請求の手続は不要となり、支払基金にて定期検査の受診を確認後、指定の口座に振り込まれます。
- 様式第2号 特定B型肝炎ウイルス感染者定期検査費等受給者証交付請求書
- 様式第14号 特定B型肝炎ウイルス感染者定期検査費等受給者証再交付申請書
請求に必要な書類、手続については、和解後に送付される書類、または支払基金の相談窓口やホームページでご確認ください。
社会保険診療報酬支払基金|給付金等支給相談窓口
フリーダイヤル:0120-918-027
受付時間:9時〜17時(土曜・日曜・祝日及び年末年始を除く)
URL:http://www.ssk.or.jp/index.html
B型肝炎のと給付金を請求出来る期間とは?
B型肝炎訴訟の期限は2017年(平成29年)1月12日まででしたが、2016年5月13日の参議院本会議の法改正(特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案)、2022年(平成34年)1月12日まで、B型肝炎訴訟の請求期限は延長されました。
これを受けて、今回はB型肝炎給付金訴訟に関する細かい期限と、給付金の請求ができるまでの期間についてご紹介していきます。
B型肝炎給付金訴訟に関する3つの期限
B型肝炎給付金訴訟には3つの期限が設けられておりますが、その期限について書きでまとめてあります。
B型肝炎給付金の期限
B型肝炎の給付金請求期間は法施行から5年以内と決められており、『平成24年1月13日から平成34年1月12日まで』になっています。平成34年1月12日時点で裁判中の場合、判決が確定した日または和解・調停が成立した日から1ヵ月以内です。
追加給付金の期限
B型肝炎の給付金を請求し、受給した後症状が悪化した場合、現れた症状に応じて追加給付金を請求することも可能です。請求期限は『肝炎の病態が進行が発覚した日から3年以内』ですが、一度でも国と和解が成立していた場合、平成29年1月12日以降でも追加給付金を受給することができます。
定期検査費用の期限
除斥期間が経過した無症候性キャリアであった場合、定期検査費・母子感染防止医療費・世帯内感染防止医療費が別途に支給され、費用の請求期限は『検査を実施した日から5年以内』となっています。
B型肝炎給付金訴訟にかかる期間は?
B型肝炎の給付金訴訟にかかる時間の目安としては、裁判の提訴をしてから和解まで約1年がかかると思って良いと思います。
B型肝炎給付金訴訟の準備にかかる期間
B型肝炎訴訟を起こすためには手続きや準備が必要になり、早いケースでも最低2ヶ月、長くかかるケースでは半年以上になることもあります。B型肝炎の給付金訴訟で給付金を受け取るには、自分がB型肝炎ウイルスに感染したキャリアであることを証明する血液検査結果や、母子感染ではない(一次感染である)ことを示す資料や医療記録などの資料が必要になります。
B型肝炎の給付金訴訟を提起する場合、このような書類集めに時間を取られ、期限ぎりぎりになってから開始して間に合わない可能性も大いにあるため、平成34年1月12日が期限であったとしても、事前準備は半年前には開始しておくと安心ですね。
給付金の申請期限|和解から1ヶ月以内
平成34年1月12日までにB型肝炎の訴訟を提起すれば和解自体は可能です。ただ、和解後は自動的に給付金が受け取れるわけではなく、社会保険診療報酬支払基金という機関に給付金の申請をする必要があります。
もし、平成34年1月12日より後にB型肝炎訴訟で和解が成立した場合、和解から1ヶ月以内に社会保険診療報酬支払基金に対して給付金申請をしなければ、苦労をしてB型肝炎訴訟を起こしたとしても、実際には給付金を受け取ることができなくなる可能性が高いので、くれぐれも注意が必要です。
まとめ
B型肝炎の給付金を得るには、様々な検査が必要になりますし、書類や記録を調査して取り寄せるのは正直一苦労です。また、B型肝炎給付金は単純に自治体の窓口に請求したら受け取れるというものでもありません。
B型肝炎の給付金請求をする場合は裁判所で訴訟手続きをする必要もありますので、できれば必要書類を集め出す前に弁護士に相談することをおすすめします。
国は給付金の他に弁護士費用も一部補助するという方針を出していますので、一度無料相談などを利用しながら、弁護士を利用するメリットなどを確認しておく事をおすすめします。