パートナーが不倫をした時、怒りがどうにも収まらず、慰謝料請求を考える方もいるでしょう。
慰謝料請求には、「不倫している」という不貞行為を確かなものにする証拠が必要です。
そこで気になるのは「自白も有効なのか?」ということでしょう。不倫をしている証拠をつかむのは大変ですし、できればパートナーの口から謝罪の言葉と反省が聞きたいと思うのが普通です。
婚約しているパートナーの一方が、パートナー以外の相手と自由意思で肉体関係を持つ行為です。慰謝料は、この不貞行為の要件を満たしていれば請求できます。
不倫に関する慰謝料は、不貞行為によって受けた精神的苦痛に対して支払われる損害賠償金です。
慰謝料の金額に定まった金額はありませんが、不倫後に離婚する・しないで、目安金額は変わります。一般的に離婚しない場合は50~100万円、不倫が原因で離婚する場合は、200万円が目安です。
今回は、不倫慰謝料の請求における証拠は自白でも有効かどうかについてご紹介します。
不倫慰謝料の請求を考えている方は、参考にしてみてください。
不倫慰謝料の請求は自白も証拠になる
パートナーに浮気や不倫が発覚して問いただした結果、パートナーが自白すればそれは証拠となります。例えば、夫がパートナー以外の相手とホテルに行ったとして、妻が偶然にも現場を目撃したとします。
家に帰ってから夫に事情を聞いたところ、不貞行為があった事実を自白したのであれば、その自白をもとに慰謝料請求は可能です。
ただし、会話だけの自白では信憑性が薄いため、裁判上の証拠としては不十分である場合もあります。
不倫の自白を確実に証拠とすることが大事
夫(妻)が不貞行為を自白した場合、その証言は証拠となりますが、裁判で効力を発揮させるには、会話があった事実だけでは足りません。
以下の3つのような形式で、証拠として収めておく必要があります。
録音データを取っておく
1つ目は、録音データで残す方法です。夫婦の会話を録音しておけば、自白があった事実が明白になり、第三者にもわかるようになります。
録音にはスマホを使っても、ボイスレコーダーを利用してもらっても構いません。「不貞行為の話があった」という記憶だけでは説得力に欠けますが、音声データがあれば確かな証拠となります。
ただし夫婦間とはいえ、盗聴により録音したデータは反社会的行為であり、人格権の侵害として却下される可能性が高いので注意しましょう。
書面に残す
2つ目は、書類で残す方法です。音声の場合、自白の瞬間を押さえなければならないため、突然自白されてしまうと「録音できなかった」との事態に陥る可能性もあります。
そんな時は、パートナーに自白内容を書いてもらい、“念書”として保管しておくようにしましょう。
念書には、以下のような項目を記載してもらいます。
- 書面に記載した日付
- 不倫の経緯と期間
- 不倫相手の第三者は、結婚の事実を知っていたか
- 不倫相手の氏名および住所
- 今後の約束
- 約束の破棄によるルール
- 夫と妻の署名および捺印
動画を撮るのも有効
3つ目は、動画で残す方法です。
音声よりも情報量が多くなることで、パートナーの表情や態度が観察できるため、裁判官も反省の有無を判断しやすくなります。
下手に「見やすいように」と編集やカットを入れてしまうと改ざんされたデータと誤解される可能性があるため、動画はオリジナルで保管しておくようにしましょう。
自白したけど証拠にならないケース
パートナーが不貞行為があった事実を自白して、音声や動画に収めていれば証拠として有効です。
しかし、いくら不貞行為の事実を語っているとしても、裁判で自白として認められないケースもあります。
自白を強要した場合
イメージできると思いますが、夫(妻)を強制して自白させた場合は、証拠として認められません。殴る・蹴るなどの暴力はもちろん、ネットに恥ずかしい写真を投稿すると言った脅迫も自白の対象外です。
たとえ自白の内容が正しいとしても、強制されて発言した内容に関しては信用度が薄くなります。脅迫や暴行、プライバシーの侵害にあたる行為には、くれぐれも気を付けましょう。
第三者の証言によるもの
夫(妻)が不貞行為に及んでいたという第三者の証言だけでは、ほとんどのケースで証拠として認められません。
たとえば、友人から「ご主人が知らない女性とラブホテルに入っていくのを見た」と聞いた時、本当かもしれないと思っても確信はつかめないはずです。
「本当に自分の主人なのか」「見間違いではないのか」など、様々な推測が飛び交うでしょう。
そのため第三者の証言で、不貞行為を立証するのは難しくなっています。ただし、他に不貞行為に及んだ証拠があり、その事実を補完するものとして、友人など第三者の証言を使うことはできます。
友人の証言も小さな証拠となるので、メモやデータとして残しておきましょう。
相手が主張を覆してきた
家で話した時はパートナー自白したとしても、裁判になった際に主張を変えることもあります。
パートナーが最初の証言と違った発言をした場合、第三者としてはどちらか本当か判断しにくいため、自白の証拠として認められない可能性があるのです。
パートナーの自白に対して、証言を覆すことはないという余程の信頼がない限りは、会話を録音したり、書面として残したりしておいた方が良いでしょう。
物的証拠があると裁判で不利な証言をされた時も、慰謝料請求を認めてもらいやすくなります。
不倫裁判で優位に立つためには自白以外の証拠も集める
不貞行為があった際のパートナーの自白は強力な武器ですが、裁判で証言を否定されたり、信憑性が薄かったりした場合に備えて、他の証拠も集めておきましょう。
証拠をコツコツ集めておくと、裁判だけでなく示談交渉でも有利に働きます。
写真や動画
パートナーが不倫相手と何度もラブホテルに出入りする様子などを動画で撮っていると、性行為の確認や推測ができる証拠となります。
写真は、画像編集がしやすいため、動画よりも説得力に欠けますが、日付と時刻入りの写真を数多く撮っていれば、継続性があるとして証拠に可能性もあります。
メール
メールやLINEのやり取りは、修正も容易なので確実な証拠にはなりません。メール内容をスクリーンショットで撮っても、加工が簡単にできるため証拠能力は低くなります。
LINEのやり取りも「体の関係があった」とは一概に言えないため、状況証拠として処理されて終わりです。しかし、パートナーが裁判等で自白した際には、証拠として使えるので大切に取っておきましょう。
スケジュール帳やメモ
紙の手帳やスケジュール帳、日記なども証拠となるケースがあります。日時や場所が明確で、不貞行為があったと推測できること、継続的に記録されていることが証拠となる条件です。
1年、2年と不倫が続いている場合などは、紙の手帳も保管しておきましょう。
まとめ
不倫慰謝料の請求では、数多くの証拠を集めることを意識しましょう。パートナー本人による自白も有効で、書面やデータに残しておけば、裁判でも状況を有利に働かせられます。
最初に「不貞行為があった」とパートナーがいった場合でも、裁判になった際に証言を否定したり、覆したりする可能性があるので、自白は第三者に分かる形で残しておかなくてはなりません。
念のため、パートナーに不貞行為の疑いがある際は、動画やメール、メモ帳などの証拠を集めておきましょう。
自白と組み合わせて使えば、裁判官へのアピールも強まり、不倫による慰謝料請求が通りやすくなります。