慰謝料とはそもそも、精神的苦痛が発生した際にその苦痛を金銭で解決するものですので、離婚問題や不倫問題であなたが精神的な苦痛を感じていれば、基本的には相手方に対して慰謝料を請求することは可能です。
ただし、離婚や不倫問題といった男女トラブルの場合、あなたが慰謝料を請求する権利は、『相手方の有責行為(ゆうせきこうい)』に基づいて請求することになります。
過去の慰謝料請求に関する判例でも・・・
夫婦がその一方甲の不法行為によって止むを得ない離婚に至ったとき、必ずしも相手の身体、自由、名誉等に対する重大な侵害行為にはあたらない場合でも、離婚に至ったことについて損害賠償として、慰謝料を請求することができる。
事件番号 昭26(オ)469号
とされていますので、相手に慰謝料を請求できるかどうかは、相手方の『有責性(落ち度)』が要求されていることに注意が必要です。
不倫慰謝料の請求・発生条件に関わる4つの行為とは
民法では、裁判上の『離婚原因』を5つ定めています。このうち1、2、3、5の4つに該当する場合は、高確率で慰謝料の請求は可能でしょう
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
参考:民法第770条
では、離婚問題に関わる問題で、慰謝料が請求できるケース4つのケースを詳しくご紹介します。
不貞行為(いわゆる不倫)
不貞行為とは、世間一般的には『不倫』『浮気』を指します。配偶者(妻や夫)以外の異性と肉体関係を持つこととされ、単に食事をしただけ、デート、手を繋ぐ、キスをする程度では離婚原因とはなりません。
夫婦には『貞操を守る義務』があります。配偶者以外の異性と肉体関係を持つことは、その義務に違反したことになります。
つまり、不貞行為があった場合、不貞した側(夫または妻)とその不倫相手に対して、慰謝料の請求が可能です。
悪意の遺棄
例えば、
- 専業主婦の妻に対して突然生活費を渡さない
- 突然家を出て行ったきり音信不通になった
- パートナーが一切家事を手伝わない
などが該当します。
民法第752条では、「夫婦は同居し、互いに協力、扶助し合わなければならない」という定めがあり、 その中には
- 『同居義務(夫婦は一緒に住まなければならない)』
- 『協力義務(夫婦は協力し合わなければならない)』
- 『扶助義務(夫婦は助け合わなければならない)』
3つの義務を示しています。特別な理由もなくこういった行為があった場合、慰謝料請求ができる可能性が高いでしょう。
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
理由は様々ですが、例えば、『家庭内暴力を振るい続けて精神的・肉体的に追い込む』などがあげられます。
DVやモラハラとも言われますが、
- 日常的に精神的に追い詰める発言
- 殴る蹴るなどの暴力を振るっていた結果うつ病などを発症してた場合
婚姻関係を続けることも難しく、慰謝料請求の対象になります。
その他、婚姻を継続し難い重大な事由
たとえば、
- 性格の不一致があって離婚したい
- 暴力・侮辱・虐待(DV)がある
- 性生活への不満が大きい
- 親族との不仲がある
- 犯罪行為による服役してしまった
- 借金などの金銭トラブル など
こういったものをすべて含めて、『婚姻を継続し難い』事由に該当します。
慰謝料の請求自体は自由にできる
慰謝料の請求が認められるかどうかは、不法行為に基づく判断がなされることになりますが、それはあくまで『裁判上』での判断になります。
暴力を振るわれて顔にアザができた事実があっても、慰謝料が発生するほどの行為と言えるかは一概にはいえません。
不法行為に該当するかどうかは、法的な見解をもとに、正確な評価が必要とはされていますが、不貞行為と断定するには弱かったとしても、慰謝料が請求できない、発生しないとも言い切れません。
慰謝料は『精神的な苦痛に対して支払われるお金』です。
つまり、不法行為に該当していないからと言って、慰謝料が請求できないとは限りません。『慰謝料を請求した事実』に対して、相手方が要求に応じれば、慰謝料請求は可能なのです。
ただし、ことは交渉による解決となりますので、一方的かつ課題な要求を通せる訳ではありません。慰謝料問題や男女トラブルで相談したいこと・不安なことがある方は、ぜひご連絡ください。
状況を整理し、今後のアドバイスが欲しいだけでも構いません。
不倫慰謝料の請求に証拠は重要
不倫慰謝料の請求に有効な証拠の例
写真・動画 | ホテルなどに出入りしている。性行為の写真や動画 |
メール、LINEなど | 肉体関係があったと推測できる内容など |
浮気・不倫を自白した録音 | 浮気・不倫の事実を認めた録音データ |
電話の通話記録・通話履歴 | 肉体関係があったと推測できる通話記録 |
領収書関係 | ホテルの領収書など |
探偵・調査会社 | 探偵から提出された調査報告書 |
もし証拠がない場合
一度ご相談ください。証拠の取り方や今度のアドバイスをさせて頂きます。
また、交渉段階であれば明確な証拠がなくても自白行為のみで慰謝料請求ができる可能性は十分にあります。弁護士から連絡をすれば、相手方が支払に応じるケースもよくあります。
不倫慰謝料の請求を弁護士に依頼すべき理由|証拠の有効性・慰謝料額を診断
慰謝料の請求には法的な解釈と、請求に足る証拠が重要になるとお伝えしました。
ただし、慰謝料請求は交渉による解決がほとんどです。
裁判で争うケースは少なく、慰謝料の発生条件でご紹介したようなケースがなければ、慰謝料が請求できないということは少ないでしょう。
弁護士が交渉の全てをサポート
不貞行為を証明する明確な証拠が今なかったとしも、浮気相手、配偶者に不貞行為の事実を認めさせ、自白すれば、慰謝料獲得は十分できるでしょう。
また、慰謝料請求でよく問題となるのは、当事者が感情的になってしまい、冷静な話し合いができないこと。冷静さを失ったばかりに、本来取れるはずだった慰謝料すら逃してしまう方もいます。
さらに、DVやモラハラがあった場合、慰謝料請求の交渉の場に赴くのも困難な場合が多くあります。その点、弁護士があなたの代理人になりますので、「交渉」ごとは全てサポートいたします。
慰謝料額がいくらになるのか診断
慰謝料の額に相場というものは明確には存在しません。離婚・不倫問題の場合、おおよそ50万円~300万円程度に収まるケースが多いです。
ただ、これも個別の事案によって様々です。
単純に不貞行為をされたことに対する慰謝料が200万円だったとしても、DVやモラハラ、その他の原因があれば+200万円(合計:400万円)になるケースもあります。
また、相手方の資力要件や、不倫の期間によっても慰謝料が増減しますので、正確な慰謝料額の算定、増額できるか、無料で診断します。