B型肝炎(びーがたかんえん)とは、B型肝炎ウイルス(HBV)が血液・体液に感染して起きる肝臓の病気のことで、感染した時期と健康状態によって、一過性の感染に終わる一過性感染と、生涯にわたり感染が継続する持続感染に大別されています。
近年B型肝炎の給付金訴訟などで一時有名になりましたが、テレビやインターネットなどで取り上げられてはいるものの、そもそもB型肝炎とはなんなのかどのような病気で、症状はどのようなものが出て、悪化した場合はどうなるのかなどをご存知でない方も多いと思います。
そこで今回は、B型肝炎とはどのような病気なのか、もしB型肝炎になったらどうすれば良いのかを、解説していきます。
B型肝炎(びーがたかんえん)とは|B型肝炎の主な症状と特徴
まずは、B型肝炎とはどのような病気で、症状などはそうなるのかをご紹介していきます。
B型肝炎ウイルスに感染して起きる肝臓の病気
繰り返しになりますが、B型肝炎はB型肝炎ウイルスという病原菌が血液を介して体に入る事で肝臓の細胞が壊され、肝臓の働きが悪くなる病気の事です。多くの場合は急性肝炎として数ヵ月で治るケースが一般的ですが、万が一慢性化した場合は、肝硬変や肝臓癌へ進行することもあり、最悪の場合は死にいたる病気です。
非常に感染力の高いウイルス
B型肝炎になると、肝臓の細胞が壊れて、肝臓の働きが悪くなります。急性肝炎として数ヵ月で治る場合もありますが、慢性化した場合は、肝硬変や肝臓癌へ進行することもあるので気をつけないといけない病気です。
B型肝炎の感染者の推移
B型肝炎ウイルスの感染者は全世界で約3億5,000万人もいると言われており、そのうち日本では約130〜150万人で、およそ100人に1人が感染していると推定されています。
B型肝炎ウィルスにかかった人のうちの10%が肝炎を発症、慢性肝炎や肝硬変、肝細胞癌に進行しますが、95%は自然治癒すると言われていることもあり、正確な数値を把握する事は難しいですが、B型肝炎ウィルスキャリアのうち5%は慢性肝疾患になるとも言われています。
日本国内の状況について
B型肝炎ウイルスに感染している人は、日本国内では130万~150万人いるとされていますが、ほとんどは「HBV母子感染防止事業」が実施される前の母子感染(垂直感染)によるものと言われています。
HBV母子感染防止事業とは?
日本小児科学会、日本小児栄養消化器肝臓学会、日本産科婦人科学会が要望した、B型肝炎ウイルスの母子感染予防の新しい方式のことで、生後2か月の抗 HBs 人免疫グロブリン注射を省くことで、予防処置の不徹底による母子感染を防止するための指針のこと。
参考:B型肝炎ウイルス母子感染予防のための新しい指針
また、1972年にHBs抗原検査の開始と、1986年に開始された母子感染予防対策事業によって、母子感染や輸血によるHBV感染は減少しており、現在は感染の危険性はほとんどありません。
B型肝炎の主な症状
B型肝炎ウィルスに感染した場合、男性女性で異なる症状が出るケースは少なく、感染から潜伏期間を得て発祥するまで個人差はありますが約1~2ヵ月になります。その際の主な症状としては、
- 全身の倦怠(だるさ)
- 食欲の低下
- 濃い色の尿が出る
- 発熱、黄疸 など
B型肝炎で症状を起こす人は感染者の約3分の1と言われており、感染者の半数以上(約95%)は症状が出ないまま自然治癒して行きますが、発祥しても安静にしていれば、2~3ヵ月で治るとされています。
ただし、まれに劇症化(肝臓の炎症が強くなり、肝細胞の大部分が死亡する減少)することがあり、肝臓移植を行わない場合の死亡率は60~70%とかなり高いものになります。肝臓疾患の目安となる、ASTやALTなどの値が異常に高い場合や、黄疸の症状がある時は即刻入院をした方が良いでしょう。
B型肝炎の初期症状
B型肝炎ウイルスに感染した際の初期症状としては、以下の様な物があります。
- 全身の倦怠感
- 食欲不振
- 頭痛
- 悪心
- 発熱
- 下痢
- 嘔吐 など
何となく風邪の症状に似ていますね。続いて、皮膚や眼球の白い部分が黄色くなる黄疸や褐色の尿が見られるケースもあります。このように、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるだけあって風邪と勘違いしやすく、自覚症状も現れにくいため初期症状だけではB型肝炎ウイルスに感染しているとは思わないケースもよくあります。
もし、B型肝炎ウイルスに感染している可能性があれば、血液検査を受けるのがおすすめですね。
B型肝炎が悪化した場合の症状と経過
もし何もせず、B型肝炎が悪化した場合、「持続感染(垂直感染)」の場合と「一過性感染(水平感染)」で違った症状が現れます。
持続感染(垂直感染)している場合
もし持続感染(垂直感染)していた場合、既にお話ししたように約10~15%の人が慢性肝炎を発症し、治療が必要になります。ただし、慢性肝炎を発症している場合でも、一過性感染(水平感染)の場合に起きる急性肝炎のような、自覚症状がはっきりと現れることは少ないです。
残りの約85~90%の人は、一時的にB型肝炎の症状が現れることもありますがすぐに沈静化するため、無症候性キャリア(自覚症状が無いまま過ごす状態)になります。
ですから、B型肝炎ウイルスへの感染が判明した場合、まずどのような感染経路であるか血液検査で調べて、定期検査などを行う事で肝機能に異常がないか、異常が発見された場合は直ちに専門治療を受ける必要があります。
一過性感染(水平感染)の場合
一過性感染(水平感染)の場合も多くのケースで自覚症状もないまま治癒(不顕性感染)していきますが、約20~30%の方は急性肝炎(顕性感染)を発症する事になります。
一過性感染(水平感染)の場合の急性肝炎は、上記のような症状が現れるものの、数か月以内に治癒することが多いため、ほとんどの場合は心配する事は無いのですが、もし急性肝炎を発症した場合には、約1~2%の方において劇症肝炎化する可能性があります。
B型肝炎の感染経路
B型肝炎ウィルスへの感染は、HBVの含まれる血液や体液が体内に入ることにより起こりますが、主な感染経路としては、HBVに感染している母親から子供への感染である母子感染(垂直感染)と、それ以外(注射器の使い回し、輸血、性交渉など)による水平感染があります。
垂直感染|母子感染・持続性感染
子供へのHBV感染の多くは、HBVに感染した母親からの垂直感染(母子感染)が一般的です。
乳幼児はまだ免疫機能が未発達のため、HBVに感染してもウイルスを異物だと認識出来ず、認識できたとしてもウィルスの排除能力が低いためB型肝炎ウイルスは肝細胞に住み着いてしまい、感染した子供は無症候性キャリア(HBVに感染しても肝炎症状が出ない)となります。
現在は、母子感染防止策によって新たな母子感染はほとんど起きていません。ちなみに、B型肝炎給付金訴訟においては、この「垂直感染」であることが給付金支給の条件となっていますので、B型肝炎の給付金請求をする場合は、まずは血液検査をしてから、どちらの背鵜直感染であること確認・証明する必要があります。
水平感染|一過性感染
医療機関による注射器の針刺し事故や注射器の使いまわしなどでHBVに汚染された血液を輸血してしまい、B型肝炎ウィルスに感染してしまう事件もありました。
過去、保育園の園児、先生内で集団感染が起きたこともあり、父親や家族内からの感染もたびたび報告されていましたが、現在はワクチンの接種や医療環境の整備などがきちんとされて、水平感染によるHBV感染はほとんど起きていません。
一方、問題になっているのが大人になってからのHBV感染、つまり性交渉(セックス)によるHBV感染の拡大です。
性交渉によるB型肝炎感染者は年間10,000人増
不特定多数の異性と性交渉を持つときには、性行為感染症の予防効果もあるコンドームを使用するようにしましょう。コンドームを使ったから問いって100%安全ということはありませんが、無いよりは格段にマシなハズです。
現在、性交渉によってHBV感染者となるのは年間で約10,000人と言われており、高いHBVキャリア率となる事が予想されています。
成人後のHBV発症は20%〜30%
ただ、成人してからHBVに感染した場合は70~80%の方は自然に治癒する友言われています。急性肝炎を発症するのは20~30%の方ですが、大部分は治癒しますので絶望する事は無いのですが、それでも1~2%の方は、劇症肝炎を発症して死亡することもありますので、日頃からの予防はしっかりした方が良さそうですね。
海外で感染するケースも多い
B型肝炎はアジアやアフリカでも多くみられ、海外で感染して国内に持ち帰るケースも多いと考えられています。性行為による感染が増えているとも言われています。
世界的に多い感染者数
全世界で見ると、B型肝炎ウイルスの持続感染者は3億5千万人、日本では130万人以上と推定されています。日本の感染者の大半は母子感染によるものですが、1986年より「HBV母子感染防止事業」として、妊婦検診における検査が実施された後は非常に少なくなっています。
B型肝炎の感染を確認する4つの検査方法
B型肝炎ウイルス(HBV)に感染しているかを判断するには、採血検査を行うことで判明します。血液の中にHBs抗原が検出された(HBs抗原陽性)人の中には、初めてB型肝炎ウイルスに感染した人とHBVに持続感染している人(HBVキャリア)の2パターンに分かれることになります。
HBV自体が血液中に存在しているかどうかを検査する具体的な方法としては、HBVの遺伝子の一部を増幅して検出する核酸増幅検査という方法が実用化されており、血液中に存在するHBVの量を定量することができます。
検査自体は自分で行うか、委託医療機関でも無料のB型肝炎ウイルス検査を実施していますので、そちらに足を運んでも良いかもしれません。
参考:都道府県別の無料検査実施情報と保健所検索
1:病院による問診
B型肝炎の感染経路は、主に母親から出産時の子への感染(母子感染・垂直感染)があります。子供を出産した後の集団予防接種や、医療者の注射器の使いまわし、または性交渉、入れ墨器具を消毒せずに繰り返して使用した場合等が考えられます。
ですので、出生時の母親の感染の有無や、集団予防接種時の時期(昭和23年7月~昭和63年)など、感染の原因となりうることがあったかどうかを病院などで確認することが大切です。
医療機関による検査の主な流れ
HBs抗原検査 | ||||
陽性の場合 | 陰性の場合 | |||
<<精密検査>> |
感染の可能性は極めて低い | |||
HBe抗原陽性 HBV・DNA量が5Logコピー/mL超えの場合 |
HBe抗原陰性 HBV・DNA量が5Logコピー/mL以下 |
|||
ALT 異常あり |
ALT 異常無し |
ALT 異常あり |
ALT 異常無し |
|
定期検査 1〜3ヶ月に1回 |
定期検査 2〜6ヶ月に1回 |
HBV・DNA 再検査 |
定期検査 6〜12ヶ月に1回 |
|
6ヶ月以上ALTに異常があるなら「慢性肝炎」の疑いが強い | ← | |||
肝生検 |
2:血液検査
B型肝炎ウイルスに感染していないかと検査する最も効果的な検査は血液検査になります。
- HBs抗原:陽性はHBV感染
- HBs抗体:陽性であれば治癒
- HBc抗体:陽性であればHBV感染
- HBc-IgM抗体:初期感染急性期または慢性肝炎急性増悪期に上昇傾向
- HBe抗原:HBV量が多い
- HBe抗体:HBV量が少ない
- HBV-DNA:HBVのDNA量を直接測定
現在ではリアルタイムPCRといった検査方法が用いられ、従来よりも感度の優れた検査方法が利用されている。
HBs抗原 | HBs抗体 | HBe抗原 | HBe抗体 | HBV-DNA | 臨床像 |
(-) | (+) | (-) | (-) | (-) | 既感染・治癒 |
(+) | (-) | (-) | (+) | (-) | HBe抗体陽性無症候性キャリア |
(+) | (-) | (+) | (-) | (+) | HBe抗原陽性無症候性キャリア |
(+) | (-) | (+) | (-) | (+) | 慢性B型肝炎 |
3:画像検査
以下の画像検査によって、慢性肝炎~肝硬変・肝細胞癌の発生を評価していきます。
- 腹部超音波検査
- CT、造影CT
- MRI・EOB・MRIなど
4:病理組織検査
肝生検により肝臓の傷害について、リンパ球浸潤や線維化などの組織学的評価する検査方法。HBs抗体陽性例やHBV-DNA量が測定感度よりも下回り、既感染と診断されていても肝臓の組織内にHBVが残存していることを判明することが可能。
HBV・B型肝炎の検査を受けた方が良いケース
下記の項目に当てはまる人は、B型肝炎ウイルスの検査を受けたほうがよいとされていますので、検市町村の検診等を利用して検査を受けて見ると良いでしょう。また、最寄りの保険所や医療機関、行政機関の窓口に相談してみても良いですね。
- 1992年以前に輸血を受けた人
- 1985年(昭和60年)以前に生まれた方
- 不特定多数の方と性的な関係を持った方
- 長期にわたって血液透析を受けている人
- 血液製剤を投与された人
- 不特定の人の血液、体液に触れる機会のある方
- 肝炎ウイルス感染ないし、キャリアの母親から生まれた子供
- 大きな手術を受けた人
- 入れ墨、はり治療、ボディピアスを受けた人
- 健康診断等でAST、ALT値の異常を指摘された
- 診察や検査を受けていない方や肝炎ウイルス検査を受けていない方
HBVの感染結果はおよそ2~3ヵ月が必要です。また、HBV検査を目的とした献血は絶対に行わないようにしましょう。
B型肝炎の治療方法は?
もし一過性感染の場合は感染から約6か月程度で治癒するケースが多くあり、B型肝炎ウイルスが原因で健康上問題が生じる可能性はなく、再びB型肝炎ウイルスに感染する可能性もないとされています。
一方で、持続感染(水平感染)の場合は、B型肝炎ウイルスが体内に住みついているため、肝機能が正常に働いていても定期検査等をしていただいて経過を観察することをおすすめします。
[aside]肝庇護療法とは?
肝庇護療法は治療薬を使った療法で、内服薬のウルソデオキシコール酸と注射薬のグリチルリチン製剤を使うのが一般的です。いずれの薬剤も軽度の肝障害に対してはある程度有効ですが、B型肝炎特有の急激な肝障害の出現時(急性増悪)には肝庇護剤はあまり有効ではないと言われています。[/aside]
B型急性肝炎の場合|抗ウイルス療法(肝庇護療法を行う場合もある)
急性肝炎の場合、一般的には抗ウイルス療法は必要ありませんが、もし食欲低下などの症状があれば水分補給や栄養補給のために点滴などを行います。
そのため、基本的には慢性肝炎の肝庇護薬は使用せずに、無治療で自然にHBVが排除されるのを待つのがセオリーです。ただ、急性肝炎の中でも劇症肝炎が起こっており、放置すれば命にかかわる危険性もあると場合には、抗ウイルス薬として核酸アナログ製剤の投与や血液を浄化するための血漿交換、血液透析などの肝臓の機能を補助する特殊な治療を必要とする場合もあります。
B型慢性肝炎の場合|抗ウイルス療法(IFN)
B型慢性肝炎の患者に持続感染しているHBVを身体から完全に排除することは不可能なことがわかっています。C型慢性肝炎の場合には直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の内服治療で高確率にウイルスの完全排除が期待できるものの、HBVに対してはIFNを使用しても核酸アナログ製剤を用いても、現在の治療薬では、ウイルスの完全排除は期待できません。
これがHBVとHCV(C型肝炎)の根本的な治療の違いですので、これをふまえたうえで、B型慢性肝炎の治療は専門医にお願いすることになります。
IFN療法とは?
慢性肝炎の状態にある患者を対象にした治療方法のひとつで、IFN療法の奏効率は30-40%と言われれている治療効果の高いものですが、IFN療法を行うと38度を超える発熱・全身倦怠感・関節痛・筋肉痛は必らず発現してしまいます。ただしこれらの副作用はIFNを継続して投与していくと徐々に落ち着き、数週後には多くの人では出現しなくなります。
免疫療法という方法もある
ステロイドリバウンド療法(ステロイドは副腎皮質ホルモン剤)とも言われ、使用することで体の免疫機能を一時的に体の免疫機能を低下させ、その後、使用を急に中止することで人本来の免疫力を一気に活性化させ、HBVを攻撃するかなり荒技な治療法です。
自分自身の状態にどのような治療が最適であるかについては、専門医に診てもらい判断してもらう必要があります。
B型肝炎を予防するには|HBV感染予防の対策
では、B型肝炎を予防する為、感染者とならない為にはどうすれば良いのでしょうか。B型肝炎を予防する為に対策もご紹介して行きます。
予防策1:血液に接触しない事が大事
B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することを避けるためには、感染している人の血液になるべく接触しないことが重要です。
- 歯ブラシ、カミソリなど他人の使用したものを使用しない
- 他の人の血液に触る機会がある場合はゴム手袋を着用する
- 注射器や注射針で非合法の薬物注射をしない
- 入れ墨やピアス開ける際は清潔な器具であることを確認する
- 不特定多数の相手との性行為にはコンドームを使用する など
そもそも違法なものも含まれていますので、そういった違法行為は行わないようにしましょう。
- 覚せい剤取締法違反【所持・使用:10年以下の懲役】
- 大麻取締法違反 【所持:5年以下の懲役】
- 麻薬及び向精神薬取締法違反【所持・使用:7年以下の懲役】
- ヘロイン 【所持・使用:10年以下の懲役】
- モルヒネ・コカイン・MDMAなど【所持・使用:7年以下の懲役】
- 向精神薬 【譲渡:3年以下の懲役】
- アヘン法違反 【所持:7年以下の懲役】
- 毒物及び劇物取締法違反 【摂取・吸引:2年以下の懲役及び100万円以下の罰金】
- 薬事法違反 【所持・使用:3年以下の懲役及び300万円の罰金】
予防策2:性交渉の際には必ずコンドームを使用する
アナルセックスや生理中の性行為など、出血と粘膜の損傷をともなう性行為は感染の危険性は高いと考えられますので、性行為による感染予防には、コンドームの使用は有効です。
パートナーの検査の必要性は?
感染した場合は、パートナーの検査は必要です。通常、B型肝炎の感染源となったパートナーは、キャリア(持続感染者)と考えられます。しかもウイルス量の多い状態と考えられますので、医療機関の受診をすすめて下さい。
予防策3:ワクチンの接種
パートナーがB型肝炎の持続感染者(キャリア)で、自分が未感染の場合、ワクチン接種を受けておくと安心でしょう。B型肝炎に一度かかった人は抗体ができるので、再感染の可能性はきわめて低くなります。
B型肝炎と認められた場合は国から給付金が出る
国内のB型肝炎 ウイルスの持続感染者は110~140万人存在すると推計され、昭和23年から昭和63年までの間に受けた集団予防接種等の際に、注射器が連続使用されたことを受けて、厚生労働省が中心に、条件に当てはまる方を対象に、病態に応じて国から50万~3600万円の給付金を支払うというものです。
参考:厚生労働省|B型肝炎訴訟について
B型肝炎の給付金が受けられる人の条件
給付金の支給の対象者は、「7歳になるまでに、集団予防接種等(昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に限る)の際の注射器の連続使用により、B型肝炎ウイルスに感染した方と、その方から母子感染した方、またはこれらの方々の相続人」です。
- B型肝炎ウィルスに持続感染していること
- 集団予防接種を受けたことがあること
- 生年月日が昭和16年7月2日以降であること
- 出生時に母親がB型肝炎ウィルスに持続感染していないこと
- 他に感染原因がないこと
- 病態の特定がなされていること
参考:対象者の認定
B型肝炎の給付金額
B型肝炎ウイルス感染者給付金の額は以下のとおりです。
病態等 | 金額 |
死亡・肝がん・肝硬変(重度) | 3,600万円 |
肝硬変(軽度) | 2,500万円 |
慢性B型肝炎 | 1,250万円 |
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎の方で、現在も慢性肝炎の状態にある方等 | 300万円 |
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎の方で、現在は治癒している方 | 150万円 |
無症候性キャリア | 600万円 |
20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア (特定無症候性持続感染者) |
50万円 |
このほかにも、上記給付金に加えた訴訟手当金として、
- 訴訟等に係る弁護士費用(上記給付金額の4%に相当する額)
- 特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための検査費用
が支給されます。また、特定無症候性持続感染者に対しては下記の費用も支給されます。
- 慢性肝炎等の発症を確認するための定期検査費
- 母子感染防止のための医療費
- 世帯内感染防止のための医療費
- 定期検査手当
給付金の請求方法
給付の対象者の認定は、裁判所による和解手続きによって行われるため、給付金支給を受けるためには、国に対して損害賠償訴訟(B型肝炎給付金訴訟)の提起または調停の申立等を行うことで、自分が支給対象者として認定される必要があります。
そのため、国も弁護士費用を負担すると公言していますので、B型肝炎訴訟が得意な弁護士に相談すれば、費用を抑えながら確実に給付金を受け取れる可能性が高まると言う事ですね。
まとめ
如何でしたでしょうか。B型肝炎の基本的な症状等はご理解頂けたかと思いますので、もし自分がB型肝炎の可能性がある場合、まずは検査から受けてみては如何でしょうか。
【B型肝炎の可能性が高い方のおさらい】
- 1992年以前に輸血を受けた人
- 1985年(昭和60年)以前に生まれた方
- 不特定多数の方と性的な関係を持った方
- 長期にわたって血液透析を受けている人
- 血液製剤を投与された人
- 不特定の人の血液、体液に触れる機会のある方
- 肝炎ウイルス感染ないし、キャリアの母親から生まれた子供
- 大きな手術を受けた人
- 入れ墨、はり治療、ボディピアスを受けた人
- 健康診断等でAST、ALT値の異常を指摘された
- 診察や検査を受けていない方や肝炎ウイルス検査を受けていない方
【B型肝炎給付金の対象者のおさらい】
- B型肝炎ウィルスに持続感染していること
- 集団予防接種を受けたことがあること
- 生年月日が昭和16年7月2日以降であること
- 出生時に母親がB型肝炎ウィルスに持続感染していないこと
- 他に感染原因がないこと
- 病態の特定がなされていること